2012年12月31日月曜日

ONE-LAW『Misty The Sound Crack』

SEXORCISTでありCracks Brothersであり鎖GROUPでありRGFであるONE-LAWの1stアルバム。マスタリングはINNERSCIENCE先生。Black Smokerライクのモクモクな音を想像していましたが、もっとシンプルで抜けのいいブレイクビーツが多め。本人がどれだけ意識していたのかは分からないけど、クラウド・ラップを思わせるような浮遊感のあるトラックも幾つか収録。全編通して、とにかく聞いてて気持ちいい。


2012年12月30日日曜日

soakubeats『Never Pay 4 Music』

ここしばらく流行しているTRAPや、Lex Luger、Young Chop辺りのトラックメーカーに影響を受けたと思われる凶悪なトラックが、イリシット・ツボイ氏のMIXによってさらに極悪に。客演しているラッパーもトラックに負けず劣らず悪い。OMSB、Maria、Charry Brownも完全なギャングスタ・モード。ECDに至っては「将来の夢は犯罪者」とラップしている。日本のGRIMEの第一人者であるDEKISHIもキレキレのファスト・ラップを披露。ヤクザなサンタから届いたクリスマス・プレゼント。


2012年12月19日水曜日

サイプレス上野とロベルト吉野 - ヨコハマシカ feat.OZROSAURUS

 

12/15に池袋bedで開催されたイベント「チェックユアマイク」でサ上とロ吉のライブを初めて見たけど、率直にめちゃくちゃ楽しかった。サ上のラップスキルもばっちりだったし、ライブ終了後にB-BOYポーズして客に記念撮影させてあげるようなサービス精神が何より最高だった。イベント自体(サ上が主催の内の1人)も、PUNPEEがJUKEかけまくったり、RUMIタソが復活ライブやったり内容盛りだくさんで、とても良かった。次回が早くも楽しみ。

そんなサ上とロ吉の新曲。横浜のキング、OZROSAURUSをフィーチャリング。地元は同じながら、これまでありそうで無かった組み合わせなので新鮮。YouTubeのコメントでサ上がMACCHOに喰われてる、みたいなのがあるけど、Amebreakのインタビュー読むとそれすらも想定済みだったみたい。横浜(というか単純に自分達の地元、か)をレペゼンするPVもいい(このビデオに対してTwitterでわけわかんない批評を読んだけど、あれは何だったんだろう…)。自分の地元にもこんな曲があったら、こんなラッパーがいたら、と思わせる1曲。

2012年12月12日水曜日

16FLIP『Smokytown Callin』

Down North Camp所属のDJ/トラックメーカー、16FLIPの1stアルバム。ラッパーの客演は無し。なんか最近、こういうビートテープばかり聞いてる気がする…。タイトル通り、MONJUやISSUGIの作品で聞けるようなモクモクのスモーキーで、夜の匂いを感じさせるビートが満載。個人的に16FLIPの低音の出し方とドラムの音はかなりツボ。「Open The Gate」は、このMIX CDに収録されてた曲のインストver.ですかね。夜の街を歩きながら聞くと、かなりハマる1枚。


2012年12月11日火曜日

BIOLLANTEZ『BATTLE OF KITAOSAKA』

フリーEPをリリースしたばかりの、DJ ENDRUNとSH BEATSからなるBIOLLANTEZのフル・アルバム。意外なところで5lackからシャウトアウトもらってますが、どこで知り合ったのだろう…。EPと同じくアルバムもラッパーがFeatされた曲のない、完全なビートテープ。プロダクションもEPと同じくサンプリングメインで、ちょっとサイケがかったマッドな仕上がりが最高。日本語のフレーズのサンプルを要所要所で上手く使ってるのも面白い。曲数は37曲と多いものの、1曲1曲が短いのでさくっと聞けます。是非ともライブを見てみたいのですが、何とか東京に来ないもんだろか。


2012年12月10日月曜日

Lil B『Glass Face』

2012年も既に佳境を迎えておりますが、今年もLil B‘The BasedGod’様の勢いは衰えず、ほぼ月に1本のペースでミクステをリリース。他のアーティストと比べ圧倒的な量の作品。しかも今年は過去と比べても、(言い方はアレですが)ゴミのような作品はなく、粒揃いだった印象。おそらく今年最後のリリースであろう(ひょっとしたらXmas辺りにある??)、今作もなかなかの出来。まさに“Thank You BasedGod”。

2012年11月24日土曜日

Le$『The Struggle Continues』

テキサスはBoss Hogg OutlawzからLe$の新作。プロデュースにはMr. Rogers、Stunt N Dozier、DSFなどおなじみのメンツが多め。客演がある曲は全18曲中6曲と少なめで、BHOのボス・Slim Thug兄貴も1曲だけ。それでもさすがのクオリティ、今作もスムースなファンクが炸裂してて最高です。最近はDre Dayのこの間のやつやSlim Thug兄貴の過去作をずっと繰り返し聞いてて、Hタウン症候群が止まらない…。

2012年11月23日金曜日

BIOLLANTEZ『Garbage or Hors-d'oeuvre』

BIOLLANTEZという、ENDRUNというトラックメーカー(?)とSH BEATSこと骨川スネア氏が新しく(?)組んだユニット(?)のビートテープ。ダウンロードはこちら。もうすぐ消しちゃう、みたいなことをツイートしてるので興味ある方はお早めに。骨川スネア氏は、最近だとCAMPANELLA & TOSHI MAMUSHIのアルバムにもトラック提供したりしてたし、絶好調すね。このビートテープも最高。サンプリングメインのプロダクションだけど、古臭さは全くなし。ちょっとサイケがかってるところも面白い。USでいうとAlchemistに似ていると思う。ネオ東海だけじゃなく、大阪の新世代も要注目。


2012年11月21日水曜日

Clyde Carson『S.T.S.A.(Something To Speak About)』

オークランドのラッパー、Clyde Carsonの新作。プロデューサーのクレジットはないですが、音は派手さはないものの如何にもベイという感じで、調子いいっす。10曲30分超というコンパクトさも丁度いい。French Montanaの気合い入ったミクステを聞いた後だからかもしれないけど…。客演にはベイの重鎮E-40、同じくベイからIAMSU、西海岸の注目株Problem等々。夜に酒でも飲みながら聞いていたい感じ。

2012年11月17日土曜日

Action Bronson & The Alchemist『Rare Chandeliers』

Action BronsonとAlchemistのタッグによるミクステ。まずはジャケットの先行シングルのPVと同じくらいのバカさ加減が最高。Action Bronsonはこういうのホント似合うな。ミクステの内容も、Alchemistのネタ感の強いトラックとAction Bronsonのラップの組合せが鬼に金棒状態。Harry Fraudとやったりしてたけど、やっぱりこういうトラックの方が合ってますね。客演には、Schoolboy Q、Roc Marciano、Evidence、Styles P等々、豪華な布陣。前作の『Blue Chips』も傑作だったけど、こちらも負けずと素晴らしい。

2012年11月16日金曜日

NIPPS『Deuce Is Wild』

DJ Deezyによるデミさんこと、NIPPSの全キャリアを網羅したMIX CD。BUDDHA BRANDからTETRAD THE GANG OF FOUR、ソロ、他アーティストへの客演曲まで、幅広い選曲。改めてこうしてまとめて聞いてみると、BUDDHAの頃から声もラップも変わっていってるんだなあ、という印象。20年も経てば当たり前か。個人的にはB.D.とSEXORCISTを始めた頃からのデミさんが一番好きなので、これからもこの調子で長く頑張ってもらいたいっす。


2012年11月15日木曜日

Cory Mo『Country Rap Tunes 2』

Cory Moのカントリー・ラップ集、パート2。といっても、ボク自身が「カントリー・ラップ」というジャンルを理解してなかったので調べてみたら、wikiありました。「カントリー・ミュージックにヒップホップを混ぜた音楽」とのこと。そのままやんけ。該当するアーティストの例としてUGKが挙がってましたが、要するに南部の土臭いファンクなラップ・ミュージックということでしょうか。今作もその例に漏れず、ヒューストン産の粘っこいファンクが炸裂。客演ではUGKのBun B、Slim Thug、Killer Mikeといったサウスのアーティストを始め、Talib Kweliまでもが加勢。テンション上がってそのままの勢いで思わずパート1もDL。

2012年11月14日水曜日

Al-Doe『Nose Candy』

Smoke DZAのミクステに客演していたNYのラッパー、Al-Doeのミクステ。XXLには「Rising spitter」とか書かれてますね。客演にはSmoke DZAやVado、Chase N Cashe等々が参加。トラックは殆どをElemnt For Koncrete Jungle Muzikというプロデューサーが製作してますが、Harry Fraud、183rd、Lee BannonなどのSmoke DZAの作品に関係した名前もちらほらと。同じNYのStyles PやLloyd Banksを思わせるようなフロウと、オーセンティックなトラックの硬派な組み合わせがカッコいい。

2012年11月10日土曜日

DaVinci『The MOEna Lisa』

ベイエリアのラッパー、DaVinciの新作。bandcampだけじゃなく、soundcloudからもDLできます。この間リリースされたMain Attrakionzのアルバムからの先行カット「Do It For The Bay」での客演で初めて名前を知ったんですが、2年程前からコンスタントにアルバムをリリースしてた模様。プロデューサー陣もBlock Beattaz、Ammbush、Al Jieh以外は知らなかったんですが、このブログによるとベイのアツいヤツらが集まってるみたいです。客演ではMain Attrakionzがアルバムのお返しとばかりに1曲。他にFreddie Gibbsも1曲参加。時折見せる、跳ねるようなファンクネスがベイらしい。

2012年11月9日金曜日

Tha Joker『Two Weeks Notice』

前作『Why So Serious 2』から、約1年ぶりのTha Jokerの新作ミクステ。全10曲中3曲でJokerが喋ってるだけだったり、最近では定番の「Don't Like」のジャック(もう結構食傷気味…)が入っていたりしますが、他の曲はバッチリ。カッコいいす。「F.H.I.T.O.」とラストの「My Moment」のラップが、個人的には大好き。出来ればもう少しボリュームある作品で、Jokerのラップを堪能できたらなーと思います。

2012年11月7日水曜日

C.O.S.A.『CAPO』

ネオ東海のトラックメーカー、C.O.S.A.の新作ビート集。前作『REPLICAS』は16曲44分だったのに対し、今作は9曲21分とかなりコンパクト。にも関わらず、内容はオーソドックスなブレイクビーツからレゲトンをMIXしたような実験的なトラックまで、音もリズムも多彩でかなり聞かせる内容になってる。CampanellaのILLなREMIXが入っているのも見逃せない。このビート集の他にもTOSHI蝮『Blue Cheeeze』で2曲、今日発売の『CAMPY&HEMPY』でも4曲をプロデュース。ノッてますね。

2012年11月6日火曜日

Doe Boy,Lex Luger & Young Chop『Boyz N Da Hood 2』

Lex LugerとYoung Chopの名がクレジットされているものの、全曲この2人がプロデュースしている訳ではなく、半数くらいの曲は他のトラックメーカーがプロデュース。「お、このビートいいな」と思ってクレジット見たらJ Greenのビートだったのはびっくりした。プロデュースもやってるのか。808 Mafiaも1曲絡んでます。客演では、GBEからSDが1曲参加。Lil Mouse君(まだ13歳らしいです…)がさらっと入ってる感じは凄いシュール(Twitterのプロフィール画像がちょっと笑える)。

2012年11月5日月曜日

Young Scooter『Voice Of The Streetz』

Brick Squadに新たに加入した、Young Scooter。新入りの顔見世ということで、ボスのGucci Mane兄貴も客演で1曲参加。もたった感じのフロウがクセになる感じ。Lil DurkやChief Keefの新曲を聞いてからこれを聞くと、GBEの連中は色々と過剰なんじゃないかという気がしてくる…。あとYoung ScooterのTwitterを見てて知ったんですが、Brick Squadのブログというものが存在してたんですね。TumblrじゃなくBloggerでやってる感じが、なんとなくこのクルーっぽい。

2012年11月4日日曜日

Dre Day『Down Here N Texaz』

Boss Hogg OutkawzからDre Dayの新作。Bandcampで買う(10$)ことも出来ますが、ここからフリーDLも出来ます。本人が両方のURLをツイートしてるんですが、USのこういう所は相変わらず良く分からん…。Slim Thug、L.E.$.、M.U.GといったBHOのメンバーや、元BHOのKilla Kyleonが客演で参加。これぞサウス・ヒューストンといった感じのスムースなファンクが最高。また、「Chop It Up」「Screwed Up」「Puple Kist」といったタイトルや、シロップなジャケからも明らかなように、スクリューが(ここでも)全面的にフィーチャーされていて、かなり気持ちいい。最近の流行に対する、スクリュー誕生の地からの意地の返答か。

2012年11月3日土曜日

Lil Pooh & Zilla『Paid In Full』

Lil Poohと、今日もEPを発表したばかりのZillaがタッグを組んだミクステ。タイトルが、Eric B. & Rakimの1stと同じなのは意識的なのか。大半の曲をBoss Hogg OutlawzのL.E.$.やDre Day辺りをプロデュースしてるStunt N Dozierが担当していますが、これがカッコいい。「Motivation」「Speed Dial」「I Ain't That Shit」が個人的にお気に入り。しかし今作にも曲の一部にスクリューを取り入れたトラックが収録されてるけども、最近こういうのを聞く頻度がめちゃくちゃ高くなった気がする…。

2012年11月2日金曜日

Flip『F.L.I.P.(Fuck Love I'm Paid)』

French Montana率いるクルー・Coke Boysのメンバー、Coke Boy Flipのミクステ。ソロとしては、これが初のミクステみたいですね。Coke Boys関連のリリースは結構好みなものが多くて、毎回チェックしてしまう。今作も凶悪でいかつく、時にメロウで最高です。Coke Boy Flipのクールな雰囲気を漂わせた、気だるいフロウがカッコいい。客演では、French MontanaやChinx Drugzといった、Coke Boysの主要メンバーがバックアップ。French Montanaの新作も楽しみ。


2012年11月1日木曜日

Curren$y『Priest Andretti』

Curren$yの新作はいつも通りにモクモクのスモーカーと言い切りたいところですが、そんな中でも所々でハイになってる、という感じ。「Motion」「Talk My Shit」ではドラムがドカドカと鳴り、「Trip To London」はNeptunesかTimbalandがプロデュースしたようなトラック。話は逸れますがこの曲、というか最近のFiendは、まるで人が変わったみたいにラップのスタイルが変化してますね。アップリフティングな「Max Julien」や「For Seasons」も調子いいっす。

2012年10月31日水曜日

Reese『Reese Vs. The World 2』

先行で公開されていた「Molly」から想像してたイメージが、良い意味で裏切られた感じ。スクリューが入ってホラーチックになっている「P.S.A.」、Pharrelによる凝ったリズムが印象的な「Dope Dealer」、クラウド・ラップ風の「4THENIGHT」、メロウでソウルフルな「Girls Around The World」等々。全12曲とミクステにしては絞った曲数ながら、バラエティに富んだ内容になってます。ちなみに「Girls~」はTwista『Reloaded』にも収録されていて、こちらが完成バージョンだそう。

2012年10月30日火曜日

Various Artists『Meet Da Plugg 5(Chi-Town Edition) Hosted By Tree』

インディで活動しているアーティストのコンピレーション『Meet Da Plugg』シリーズの第5弾。今回はシカゴのグループ「Project Mayhem(『ファイト・クラブ』に出てくるテロ計画ではない…)」のメンバー、Treeが監修。シカゴの最近リリースされた音源が集められている模様。Mikkey Halsted以外は全く知らないアーティストばかりですが、最近注目を集めてる地域だけあり、ラップもトラックも面白いのが多くて楽しい。未知の世界に足を踏み入れている感覚に、思わずワクワクする。最新のTreeのソロ音源も収録。

2012年10月29日月曜日

Trouble『SCOOBStrumentals』

Troubleの新作はフリースタイル集。Jay-Z、Lil Wayne、Drake、Rick Ross、Future、2 Chainz、Chief Keef辺りのビートをジャック。最近、ビートジャック中心のミクステにはあまり触手が動かなかったというか、チェックしても面白いと思うことが無かった(この前のRick Rossのヤツとか)のですが、これは普通に良いと思いました。「Lord Knows」のファスト・ラップには痺れた。Troubleのラップのカッコよさを再確認。

2012年10月28日日曜日

ARGO





















ゴーン・ベイビー・ゴーン』『ザ・タウン』に続く、ベン・アフレック監督作。この作品で完全に役者としてだけでなく、監督としてのベン・アフレックの評価も確固としたものになったのでは。早くもアカデミー賞の有力候補とのウワサもありますが、それも十分頷けるほどの力作。

前半は、架空の映画を製作する裏側を見せる中で、ハリウッドの映画製作の裏側を見せるという入れ子構造&セルフ・パロディ的な展開。この辺りは『ウワサの真相/ワグ・ザ・ドッグ』を連想させる。映画プロデューサー役のアラン・アーキンと、特殊メイクの専門家役のジョン・グッドマンの2人がふてぶてしいハリウッドの業界人を好演。

舞台をイランに移した後半は一転して、カナダ大使公邸に半ば閉じ込められた6人の外交官の人間ドラマと、脱出作戦を巡るイラン革命防衛隊との緊迫したやり取りの連続というシリアスな展開。「映画を盛り上げよう」という狙いが透けて見える場面はいくつかあるものの、外交官を演じた6人の演技が素晴らしく非常に見応えあり。観客の焦燥感を煽る演出も上手い。

「ストーリーがイランを悪く描きすぎではないか」という批判もあるようですが、アメリカの外交のやり口も映画の中で説明されているのでそこは問題ないかと。また「ポリティカル・コレクトネス(政治的な正しさ)」がこの映画のテーマではないので、批判自体が的外れなようにも感じる。

2012年10月25日木曜日

The Ill Spoken - Paid Dues(The Reunion)

Mac Miller君と同じピッツバーグ出身のラッパー、Beedieの2人によるグループ・The Ill Spokenがこのたび再結成(Reunion)、新曲を発表。再結成というのは、どうも2人が本格的にソロになる前、このグループで活動していた模様。 どうせならミクステか何か、まとまった音源が出るといいなー。



この曲を聞いてちょっとwebで検索をして驚いたのは、Beedieのようなそれ程ビッグでもないラッパーでも、ちゃんとwikiが存在していたこと。自分もミクステを聞いたことはあり、名前は知ってたけどもwikiがある程とは…。USのラップ・シーンは、やっぱり色々と規模が違うなあ。

あとMac Miller君といえば、Larry Fisherman名義でのトラック・メイキングを含めた活動など、最近活動が活発でファンとしては嬉しい限り。最近のこれもビデオ含め素晴らしいっす↓

2012年10月24日水曜日

Main Attrakionz『Bossalinis & Fooliyones』

遂にフィジカルでリリースされたMain Attrakionzのデビュー・アルバム。Bandcampで音源を聞いたり買ったりしていたアーティストが、(iTunesだけじゃなく)フィジカルでリリースしたという事実が少し感慨深くもあり。自分が知る限りではこれが初めての例ですが、他に誰かいるんだろうか。

まずは、とりあえずCDになったということで音が格段に良い。特にキックとベースの音がよく鳴ってる。これだけでもフィジカル・リリースの価値はあるのでは。音のバランスも整えられていて、かなり聞きやすい。

Main Attrakionzといえば「クラウド・ラップ」の括りで語られているし、実際アルバムにもそうした耽美な曲が多く収録されている。ただ今作では他にも、バンバータのようなエレクトロや、生ドラムを使用したものなど、多様な曲が収録されている。

そして意外なところでは、Brick SquadからGucci Maneが参加。アルバムの中でも浮くことなく、しっかりはまっている。どういう繋がりかは不明だけども、フィジカル・リリースということで大物を呼んだのか。「クラウド・ラップ」一辺倒のイメージから逃れたかった、というのもあるかもしれない。おなじみのメンツの中からは、Shady Blazeが1曲客演している。Metro Zuも1曲プロデュース。

MondreM.A.N.とSquadda Bの2人のラップもばっちり。「クラウド・ラップ」という枠を超えて、普遍的なカッコよさを備えた素晴らしいデビュー・アルバムになっている。


2012年10月23日火曜日

Action Bronson - The Symbol

 

アクション・ブロンソンの次のミクステ『Rare Chandeliers』からのファースト・カット。プロデュースはアルケミスト!60's~70'sにあったようなドラマ・映画仕立てのビデオになっていて面白い。ムダに手が込んでる笑。『スーパーフライ』のようなブラック・ムービーっぽい胡散臭さがいい味出してる。どこかに元ネタがありそうですね。チープな金髪のカツラを被って暴れまわるアクション・ブロンソンは、ジャック・ブラックかミートローフかジョン・グッドマンか。ミクステも非常に楽しみであります。

2012年10月22日月曜日

Mr. Muthafuckin eXquire『The Man in the High Castle』

本人のツイートによると、ミクステのリリースにレーベルが抵抗した模様。「they hate me to rap」とな…。ミクステがUSのシーンにおいて重要なプロモーションになっている現状を分かってないはずはないんですが。何はともあれリリースできて良かった。iTunesにファイルを取り込むと、ジャンルが「Passion」になってた。アツいね。ダウンロードはこちらのページから。

タイトルはフィリップ・K・ディックの小説『高い城の男』の引用。ジャケはJ・G・バラード『沈んだ世界』での、水の底に沈んだ世界の都市の風景を思わせるイラスト。SF好きなのか、ひょっとして。

クールという言葉がしっくりくる、抜群のラップスキルとドスのきいた低い声。誰が言ったか忘れましたが、ビギーの再来というのも頷ける。来月にはEPがリリースされるとのこと。これまで関わってきたEl-Pがプロデュースしてるっぽいんで、かなり期待してます。


2012年10月21日日曜日

The Ghost Writer





















以前Blu-rayで(人の家にて)鑑賞したものの、もう一度観たくなって今度はDVDで再度鑑賞。やっぱり、Blu-rayの方が断然映像は綺麗だな…当たり前だけど…。

登場人物、ロケーション、台詞や音楽といった映画の構成要素が最小限に抑えられた演出。ストーリーは淡々と、しかし緊張感をもって進んでいき、ラストのカタルシスへと向かう展開はお見事。ムダのない映画は観ていて心地いい。改めていい映画だなと。

イラク戦争後のイギリスを模した脚本も素晴らしい。ピアース・ブロスナン演じる元英国首相・ラングは間違いなくトニー・ブレアをモデルとしているし、軍事産業の会社として「ハリバートン社」ならぬ「ヘザートン社」が登場、ライス元国務長官そっくりの役者がラングと握手するシーンも。「もしも政治がこうした仕掛けで動いていたのだとしたら…」という、一種のパラレル・ワールドになっている。当然、監督・脚本をこなしたロマン・ポランスキーのイラク戦争に対する批判も込められてます。

しかし主演のユアン・マクレガーは、歳を取るごとにますますカッコよくなっていきますね。同年に公開された『人生はビギナーズ』も素晴らしかった。コンスタントに話題作に出演しているし、ここ数年で最も安定して活躍している俳優の一人ではないでしょうか。

2012年10月20日土曜日

JGREEN『Fvck Mainstream Codeine Funk』

SpaceGhostPurrp率いるRvidxrKlvnから、そのSGPともビーフのあったJGREENの新作。リリースの時刻をツイートしてから、ずっとiPhone片手に待ってました(予告の時刻からは随分遅れたけども…)。前作の『Da Caper 2』は『ダークナイト』のジョーカーやピエロをあしらったおどろおどろしいジャケでしたが、今作も微妙にチープな雰囲気がかなり妖しい…。

Yung SimmieやDenzel CurryなどRvidxrKlvnのメンバーに加え、Juicy J、DJ Paul、Project Patも参加。意外なところでは2Chainzも参加してる。トラックはSGPがゴシックならばこちらはホラー、といった感じで、趣の違う暗さが魅力的。不気味さを醸し出すスクリューの色濃いプロダクションと、甲高い声のJGREENのラップの対比が堪らない。ちなみにタイトルの「Codeine」とは、咳止めシロップなんかに入ってるドラッグのこと。紫(パープル)のジャケも加味すると、まどろんだドロドロのファンクってところでしょうか。


2012年10月19日金曜日

Frenchie『Concrete Jungle 2』

昨日はBrick Squadから、Gucci ManeとFrenchieのミクステがダブルリリース。Gucci兄貴による肝心の『Trap God』は残念な出来だったけれど、Frenchieは逆にバッチリ。一つ前にリリースしたミクステ(確か『French-Elo Anthony』だったかな?)がイマイチで残念に思った記憶があるのですが、今回はラップもトラックもキレキレ、かつ凶悪。客演ではLil ReeseにFredo Santanaと、最近乗ってるノッてるGBE勢をしっかり拾ってる。トラックの方も、Lil ReeseやSDをプロデュースしてるYoung Chopが1曲提供。Southside On The Trackは平常運転。

2012年10月18日木曜日

Wiz Khalifa『Cabin Fever 2』

Wiz Khalifa、ニュー・アルバムの『O.N.I.F.C.』が延び延びになっている間に、ミクステをリリース。Wizのクルー、Taylor GangのメンバーになったJuicy Jが参加してますが、まだ若干の違和感を(ボクは)感じてしまう…。この間ミクステ『Welcome To Mollywood 2』をリリースしたコンプトンのラッパー、Problemが5曲も客演してて、やっぱり最近の注目株なのだなと再確認。要チェック。

ミクステ自体は、Wizのラップをたっぷり堪能できて最高。そういえば先日FADERに、Taylor Gang所属のプロデューサーであるCardoのインタビューが載っていて、そこでDJ Quikからの影響を公言してて一人納得。あのスムースな感覚はそこから来てたのかと。あと今作は各トラックでプロデューサーのクレジットがなく、全体でTaylor Gang Musicとしてのみクレジットされてるのは、前作のbugseedの件が関係してたりするんでしょうか。

2012年10月17日水曜日

Neako『Ess Ess』

xclusiveszoneの記事によると、来月iHipHopからデビューするみたいですね。iHipHopから出るコンピレーション『A3C, Vol. 2』に参加してるのは把握してたんですが、デビューまでは知らんかった。このミクステはそのデビューアルバムの前哨戦的内容。ゲストにYoung Lが参加してるけど、久々に名前を見た気がする。カラフルなシンセの音色と、3D映画のような奥行きあるプロダクションが相変わらずカッコいい。この内容で、なんでScoreがイマイチ伸びないんだろうか…。

2012年10月16日火曜日

Big Lean『Young Oldhead』

アトランタのラッパー/プロデューサーの新作(といってもリリースは1カ月ほど前)。彼のTwitterを覗いてみたら、名前がカタカナで「リーンビッグ」だったり、プロフィールに「Young Goku」とか「フローのマスター」とか、bandcampのURLに「道場」って銘打ってあったり色々怪しい笑。日本にいた事があるのか、Wu-tangでいう少林寺みたいな感じなのか。音はちょっと前のJetsや、ピッツバーグのラッパーのレイドバックした感じに近いです。ラップもなかなかカッコいいっす。

2012年10月14日日曜日

Joey Bada$$『1999』

超今さら感のあるミクステですが…。聞いていく内に第一印象がひっくり返されることはちょこちょことあるんですが、これはその好例(まあ、好例と言っていいかどうか苦笑)。

最初聞いた時はそれ程ピンとこなかったものの、『K.O.N.Y.』でのラップがカッコよくて聞き直してみたら凄くよかった。この間Chuuweeのモロ90'sなミクステを聞いた影響もあるかもしれない…。ラップもさることながら、Chuck Strangers、Bruce LeeKixのPro Eraメンバー製作のトラックもクオリティ高い。

去年はReksがプリモprod.の曲出したりして、いよいよ90'sリバイバルくるかと思いきや、それ程でもなかったという印象。このミクステを聞くと、Pro Era勢をなんかをきっかけにこれから起こったりして、なんて想像も。こういう流れは、複雑になりすぎたプログレからストレートなR&Rに回帰したパンクの流れに、少し似ている。長い歴史をもったジャンルは、必ず通る道なのか。

2012年10月13日土曜日

TOSHI蝮『Blue Cheeese』

「まず最初に  金の為のGAMEじゃない  尊敬を獲る為でもない」という宣言で高らかに幕を開ける、TOSHI蝮の1stソロアルバム。

去年リリースのMIX CD『THE CHRONIC-L』でも感じた通り、実力も個性もあるMCが群雄割拠状態のネオ東海の中ではクセがないというか、正統派のMCという印象。「現場叩き上げ」を自称するだけあり、確かなスキル、そして固いライミングが持ち味。しっかりリリックの聞こえる、小気味いいラップが耳に気持ちいい。

Ramza、C.O.S.A.、Mr.蓮、鷹の目など東海地方のトラックメイカーを多く起用した、多彩なトラックも良い。スモーキーな「I Just Wanna」「Empty」、ダークなエレクトロの「FREE B」、鷹の目による狂乱のパーティートラック「Green Cartain」、サンプル早回しのセンチメンタルな「RISK」等々。

ストリート、ドラッグ、ラップゲームなど言うならば「ありがち」なトピックが語られているが、TOSHI蝮のラップは、そこに現状への憤りに怒り、孤独感や切なさといった「剥き出しの感情」を感じられるのが、大きな魅力になっている。「I Just Wanna」での「裏で静かに握られる弱み そんな小さな世界 俺は抜け出す」というラインや、『THE CHRONIC-L』にも収録されていた「Empty」の「柵の世界GOOD-BYE  幸せに変えたいTONIGHT」というフックは、特に心に残った。

TOSHI蝮に限らずネオ東海のMCの言葉に感じる生々しさは、東京や他の地域のMCの言葉とは一味違うように思う。ひょっとすると他所にいる自分が「東海」という世界を理想化し、オリエンタリズムを感じているだけかもしれないけれど、それでももっと多くの人(日本語ラップリスナーなら尚更)に聞かれるべきだと思う。


2012年10月12日金曜日

Kingpen Slim『Triple Beam Dreams』

Styles Pとの共演曲「Dead」を聞いてちょっと引っ掛かったのでチェックしてみたら、かなり器用なラッパーでちょっとびっくり。その「Dead」では、Styles Pも顔負けの粘っこいフロウでラップしたかと思いきや、続く「Yeah Dat」ではハードなラップを平然とやってのけてる。現地でも「versatile(多才な、何をやらせてもうまい)」みたいな評価を受けてるみたい。フックにド派手なVo入れてる曲もあるけど、活き活きしたラップが聞ける「Can't Stop Me」みたいな曲のが個人的には好き。Jim JonesやClipseのNo Maliceも客演で参加。ダウンロードするならこのページから。
 

2012年10月11日木曜日

Chuuwee『Wild Style』

サクラメントのMC、Chuuweeの新作。タイトルが『Wild Style』だったり、XXLの特集で自ら「オールドスクールの黄金時代」への回帰を語っているだけあり、サウンドはかなり90'sチック(まさかのLarge Professorが1曲プロデュース)。まあ、『Wild Style』は80'sだけど。ラップも上手く、「it's like that yo」や「put it on」みたいな懐かしいタームも聞こえてきます。「Float On」がERA「Feel」と同じネタで、ちょっとドキッとする。

2012年10月7日日曜日

アウトレイジ ビヨンド





















先代の会長を謀殺し、政界にまで影響を与える程に山王会を大きくした加藤(三浦友和)と石原(加瀬亮)。そんな加藤と石原のやり方に不満を持つ古参の山王会幹部。警察上層部の意向で、山王会を潰そうと目論むマル暴・片岡(小日向文世)。山王会と同盟関係にある、関西を拠点とする暴力団・花菱会。そして加藤と石原に組を潰され、子分と恋人を殺された昔気質のヤクザ、大友(ビートたけし)。

それぞれの狙いが複雑に絡み合うストーリーは、北野映画の影響を公言しているジョニー・トーの『黒社会』や、日本ヤクザ映画の金字塔『仁義なき戦い』シリーズを想起させる(前作~今作と大友のキャラクターを見るに、『仁義なき戦い』の広能昌三と置き換えることは可能だと思う)。闇社会に張り巡らされた権謀術数の数々や、ドロドロの人間関係の描写を中心に映画は展開、そこに前作から引き継いだ目の覚めるような暴力シーンが加わる。映画としての完成度・見応え共に、今作が上だと思う。エンターテインメント性も、これまでの北野映画で最高レベル。最近観た映画の中では、ずば抜けて面白かった。

出演者で印象的だったのは小日向文世、松重豊、塩見三省、桐谷健太、新井浩文。小日向文世演じる片岡は、間違いなく今作(そして劇中で描かれる謀略の数々)の主役。その片岡のやり方を批判的に見つめる同じマル暴・繁田役の松重豊は、少ない台詞ながら渋い存在感。塩見三省は花菱会の幹部・中田を演じ、スクリーンに映るだけで観客を威圧。桐谷健太と新井浩文の2人は、若くて青いチンピラの嶋と小野を好演。この2人はもうちょっと観たかった。5人も挙げてしまったけどまだ挙げ足りないくらいで、そのくらい役者が光った映画だったと思う。また、『その男、凶暴につき』『HANA-BI』など北野映画でおなじみの白竜が、脇役ながら戻ってきたのも嬉しい。

2012年10月6日土曜日

Hoodies『Hoodies EP』

若干やっつけ仕事にも見えるような、荒い画像のコラージュによるジャケットにまずやられた。次はローファイだけど、それが故にちょっとサイケっぽさを感じるトラック。そして、言葉の組合せの面白さとその「ゆるさ」が魅力的なラップ。ラップについては、ERAやD.U.Oを初めて聞いた時に近い感触。スチャダラパーにも近いかもしれない。ジャンルは全く違いますが、90年代にPavementが出てきた時はこんな感じだったのかなあと想像させる雰囲気。

Seminishukeiのブログによると、Hoodiesは平塚デコーダーとIsehara Kaido Boysのメンバーがやってるんですね。ここでもヒップホップとハードコアの親和性の高さが。平塚デコーダーの方はカセットがリリースされてるのをユニオンで見て、サ上(多分)が絶賛してたのを思い出したものの、結局買わずじまい。今はototoyからデータでも買えるみたいですね。こっちもチェックしてみよう。


2012年10月4日木曜日

JR Writer『ET: Extra-Terrestrial Musik』

延期されていたJR Writerの新作が、ようやくリリース。ディップセットのメンバーらしくゴリゴリというよりも、チャラいというかイケイケな内容。カッコいい。タイトルの「Extra-Terrestrial」は、「宇宙人」「地球外生物」の意味。ジャケットのタイトルそのまま直球な感じは、この人達っぽいと思いました。クルーからJim Jonesと40 Calがそれぞれ1曲だけ参加。久々にCD棚からJuelz Santanaでも引っ張り出して聞くかー。

2012年10月3日水曜日

Smoke DZA『K.O.N.Y.』

The KushedGod is Never Late!プロデューサー陣はSki Beatz、183rd、Kenny Beats、Harry Fraud等、Smoke DZAのこれまでのキャリア振り返りのようなメンツ。ゲストも常連のBIG K.R.I.T.を始め、Fat Trel、Joey Bada$$(ここでJ Dillaのトラック使うとかアツイ!)、A$AP Twelvyy、Vado、Ab-Soulと、フルアルバムさながらに豪華。Harry Fraud全面プロデュースの『Rugby Thompson』を聞いた時も同じことを感じましたが、Smoke DZAは出てきた頃のレイドバックした感じからは少し距離を置いて、徐々に尖った音へシフトしていってますね。Ski Beatzのトラックが入ってる辺りは、まだ今は過渡期なのかも、と考えてみたり。

2012年10月1日月曜日

Boaz『Bases Loaded』

BSMやGBE辺りの尖った音ばかり聞いてたせいか、最近聞いたミクステではこれが結構お気に入り。前作の『Transition』はあまり響かなかった記憶があるのですが、もう1回聞き直してみよう・・・。トラックは前作と同じようなメンツに加えて、Mac Miller君のトラックを手掛けてるID LabsやStatik Selektahが参加。客演ではSchoolboy Qがラップし始めた瞬間に空気を一変させてて、さすがの存在感。Wizも華があっていい。

2012年9月28日金曜日

Flying Lotus『Until the Quiet Comes』

Qeticのインタビューによると製作当時は、精神的に混乱していた様子。そのような精神状態を反映してか、地球を離れたサン・ラの元へ駆け足で向かっているようなコズミックでスペーシーな前作『Cosmogramma』から一転、今作は内省的な、内なる宇宙を旅するようなアルバムとなっている。

前作の細胞が増殖するように音が重なって空間を埋め尽くすようなサウンドは、そこから逆行するかのように音の隙間・空間を活かしたプロダクションや、アンビエントなトラックへと方向転換。この辺りは、製作中によく聞いていたというジェントル・ジャイアントやソフト・マシーンなどのサイケ・プログレ、CAN、ポーティスヘッド等のサウンドを上手く取り込んだなという印象。

こうした今作での新しい作風を象徴しているのは、客演にエリカ・バドゥを迎えた「See Thru To U」。無骨でトライバルなドラムとパーカッションの上で、エリカ・バドゥの声が曲に神秘的な雰囲気を与えている。そしてアルバムが終盤に近づくにつれ、ビートの目立たない浮遊感のある曲が増えていく。正にポーティスヘッドな「Hunger Feat. Nikki Randa」、アンビエントな白昼夢「Phantasm Feat. Laura Darlington」等。最後は緩やかに空へと浮かんでいくような、「Me Yeasterday//Corded」「Dream To Me」で幕を閉じる。このようなアルバム全体の構成・流れも素晴らしい。

前作のような時代のうねりを感じさせる革新的なビートはないものの、曲単位の緻密さで言えば今作の方が上。Flying Lotusの、「トラックメイカー」というよりも「ミュージシャン」としての成熟を感じさせる。


2012年9月27日木曜日

The Jon Spencer Blues Explosion『Meat and Bone』

JSBX名義では10年振り、Blues Explosion名義の『Damage』を含めても8年振りとなる新作 。JSBXとしての前作『Plastic Fang』は普通に良いR&Rアルバムだと個人的には思ったものの、ストロークスやホワイト・ストライプスが台頭した「R&Rリバイバル」真っ只中でのリリースだったせいか、メディアから「柳の下のドジョウ」狙いだなんだと叩かれ、そうした批判にうんざりした様子のジョンのインタビューを読んだ記憶もあり。Pitchforkを確認してみたら、「2.5」点の低評価で「farewell album」とまで言われてる。

ただ20年以上になるキャリア中、「R&Rリバイバル」の10年以上前から、彼らはずっとブルースとR&Rのビルド&スクラップをやってきた訳で。ジョンのサイドプロジェクト「Heavy Trash」(アメリカーナ好きにはお勧め)や過去作のリイシューを挟んでの今作も、その根本に一切ブレは無し。タイトルそのままにスピーカーから吐き出される、肉と骨だけのぶっきらぼうな音楽。この変わらなさに、彼らの自負や意地、そしてプライドを感じる。枯れた白髪混じりのオヤジ達による、ブルースの爆発ワンスアゲイン。


2012年9月23日日曜日

16FLIP aka Killwheel『180atomosphere 4』

DNCのDJ、16FLIP aka Killwheelの『180atomosphere』シリーズ第4弾。実際のジャケットは下の画像と鏡対称になってます(ちゃんとした画像が見つからなかったので・・・)。side1と2に分かれていて、side1はUSのラップ、side2はソウルやR&Bの甘い曲が中心の構成。全部で4曲収録されてる16FLIPのエクスクルーシヴなビートもばっちり。MIXの裏ジャケにも書かれててManhattan Recordsさんもツイートしてましたが、来月16FLIPのビートLPが250枚限定でリリースみたい。こ、こっちも欲しい・・・。


2012年9月20日木曜日

PUNPEE『Movie On The Sunday』

PUNPEEのディスクユニオン限定MIX CD。ジャケットの通り「映画」がテーマになっていて、曲名にも『2001年宇宙の旅』や『アバター』『ブレードランナー』のパロディあり。オリジナル曲もそのテーマ通り、名画座の暗がりで古いフィルムを眺めているような、どこか懐かしい雰囲気を感じさせる曲が多い。個人的には「離脱 feat. Gapper」、「アイデン&テティ feat. B.I.G JOE & 仙人掌」(みうらじゅん!)、「Drive In Theater feat. MC KOMICKLINICK」の3曲がお気に入り。

オリジナル曲の他にREMIXを3曲収録(Anarchy「Rockstar」のREMIXが最高!)で、Interlude(というよりは小ネタ?)も多め。なので印象としては、最近BESやA-THUGがリリースした類のMIXというよりも、一昨年に限定でリリースした『Mixed Bizness』のようなDJ MIXに近い。PUNPEEのDJを聞いた事ある人なら分かると思うけど、サンプラーやターンテーブルで遊んでいるような、良い意味で「何でもアリ」な感覚がとにかく楽しい1時間とちょっと。あと、映画と同じで「Endroll」は最後まで確認しよう!


2012年9月19日水曜日

ZAZEN BOYS『すとーりーず』

ここ数年のZAZEN BOYSの活動は、熱狂的なファンから見ても「行き詰まり」を感じさせるものだったように思う。「行き詰まり」の理由としては、変拍子を多用した複雑なバンドアンサンブルからグル―ヴを生み出すという基本的な方向性が、マンネリに陥っていた事。そしてそのマンネリを打破しようと大胆にハウスを取り入れた『Ⅳ』の曲群も、何かバンドとして腹が決まっていないかのような、中途半端なものだった事。

今作『すとーりーず』は、そうした停滞感へのバンドからの明確な回答になっている。「HIMITSU GIRL~」「RIFFMAN」に代表されるゴツゴツしたリフからなる岩のような音塊は、「Honnoji」「Weekend」を経由してカッティングが冴え渡る「サイボーグのオバケ」「泥沼」のような、よりシャープでソリッドな形に。粘っこいグル―ヴの「ポテトサラダ」「気がつけばミッドナイト」も素晴らしい。何かバンドの目指す所が、結成当初から影響を公言していたレッド・ツェッペリンから、P-FUNKや向井秀徳のルーツの1つであるプリンスのようなファンクへと変化したような印象。また『Ⅳ』から新たに取り入れたハウスの要素は、バンドサウンドを適度にミックスさせた「すとーりーず」へ。ハウスの音を吸収し、ZAZENの世界へと昇華させている。

加えてニューウェイブを思わせる「はあとぶれいく」「破裂音の朝」では、NUMBER GIRL時代のようなポップなメロディを解禁。ZAZENではおそらく意図的に封印されてきたけれど、向井秀徳は本当にいい曲を書く。舵を切り直し、バランスを整え、過去の呪縛からも解放されたアルバムは、ギターリフとシンセが絡まる中で向井節がこだまする「天狗」で大団円。バンドのやり切ったという感触を感じる、問答無用の最高傑作。


2012年9月18日火曜日

ST 2 Lettaz『R​.​E​.​B​.​E​.​L.』

G-SIDE解散しちゃいましたね・・・。日本では異例のフィジカル・リリースがあって注目もされただけに、余計に残念です。とか言ってるうちにG-SIDEの片割れ、ST 2 Lettazがソロ作リリース。プロデュースはおなじみBlock Beattaz。ZillaやKristmasも客演で参加。7曲25分と短めですが、ジャケも内容もバッチリっす。















2012年9月14日金曜日

Waka Flocka Flame『Salute Me Or Shoot Me 4 (Banned From America)』

Waka Flockaの新作。客演が沢山あったのと2ndアルバムが出たので気にしてませんでしたが、ミクステのリリースは今年初でしょうか。2曲目「Death Of Me」でのWakaの咆哮にテンション上がる。刃物ぶん回してるような凶悪なトラックが大半なのも、個人的に嬉しい。Wakaはやっぱりこうでないと。終盤の「I Got Em feat. Trae Tha Truth」「Zip Em Up feat. Wooh Da Kid, Fetti Gang & D-Bo」「Murda feat. Bo Deal & Chief Keef」の3連打はさながら絨毯爆撃。

2012年9月11日火曜日

a simple plan





















父親の墓参りの帰りに弟のハンク、兄のジェイコブ、2人の友人ルーの3人は、森の中で墜落した飛行機とその中に440万ドルもの大金を見つける。当初ハンクは渋るものの、ハンクが金を隠しほとぼりが冷めた後3人で山分けすることに。ハンクの妻サラも最終的にはこの簡単な計画(シンプル・プラン)に手を貸し、4人は大金を得るはずだったが・・・。

初めは金を盗んで隠すだけだったはずが罪が罪を呼び、更に思わぬ大金が元となってそれぞれが心に抱える欲望、疑心暗鬼、裏切りが露わとなって、4人はバラバラになっていく。幸せだったはずのハンクとサラの堅実な暮らしも、大金を目にしたことで乱されていく。一度夢を見てしまうと現状維持では満足できなくなるのは、人間の欲深さか。

オープニングの映像で「何か見た事あるなー」と思ってたら、1~2年くらい前の深夜にTVで放送してたやつでした(その時は最初30分くらい観て寝た)。監督はサム・ライミですが、得意のどぎついカメラワークを使わず淡々と撮っている感じ。彼の作品だと言われなければおそらく分からないでしょう。罪を重ねるたびに罪悪感に苛まれ自棄になっていく兄ジェイコブを、ビリー・ボブ・ソーントンが繊細に演じていて素晴らしいです。

2012年9月8日土曜日

Mala『Mala in Cuba』

「Mala + キューバ音楽」という意外な組み合わせに驚いたものの、仕掛人がジャイルス・ピーターソンと知って納得。タイトルを見た時は「ベースがブリブリのいかにもダブステップなトラックの上で、ド派手な鳴り物やVoが踊ってる」みたいな音楽を想像したものの、そんな曲は皆無(当たり前か)。Malaによるシンプルなキックとベース、その隙間を埋めるようにパーカッションが絡みつくリズムセクションが、どの曲でも中心に鎮座してる。まるで、リズムこそが音楽だと言わんばかり。そこにVoやピアノ、ダブ処理された音の欠片が、効果的にアクセントとして加えられている。

前述の通り自分が想像した「1+1=2」式でなく、Malaが正にキューバ音楽と「セッション」している。ロンドンやブリストルのグレーな空でもなく、ハバナの真っ青な海でもない、UKベースミュージックとキューバ音楽のフュージョン。ECDが『ECDIARY』でサンプラー+生ドラムと組み合わせが意外とやりやすかったと言っていた通り、「デジタルな音+生演奏」という方式は、組み合わせ次第でもっと大きな可能性がありそう。少なくともそう思わせるような音がここにある。最後のダブ、スカが混ざった中に女性Voの歌声が入っていく「Noches Sueños feat. Danay Suarez」は、溜息出るほど美しい…。


2012年9月5日水曜日

Talib Kweli & Z-Trip『Attack The Block』

『Attack The Block』ってタイトル見て「イギリス映画のアレかな~」「渋谷でやってたけど見逃したな~」とか思いつつ1曲目の「Attack The Block!!!」再生したら、グライム風のビートにまさかのファスト・ラップ。「うおおおおTalib Kweli、ここへ来て新境地やんか」とか興奮してたら、グライム風の曲はその1曲だけでした!でも他の曲も当たり前にカッコいいのはさすがと唸る。Curren$yとKendrick Lamarとの曲も収録予定だったみたいですが、流れた模様。面白そうな組合せだったので残念。

2012年9月3日月曜日

最強のふたり(Intouchables)





















実話を元にした、全く相入れないはずの2人が心を通わせていくストーリー。映画では富豪の白人と貧困層の黒人という組み合わせになってますが、実際には黒人ではなくアラブ人だったみたい(プロダクションノートの最後に写真も載ってます)。

実話ベースとはいえ、『パリ20区、僕たちのクラス』や『預言者』を観てしまった後では、両者があっさり打ちとける展開にあまりリアリティを感じられず…。また登場人物の人種を変更した点には、製作側のストーリーを単純化しよう(当然、画的にも)という意図が垣間見えてどうにもモヤモヤ。

なかなか前評判が高かったので期待してたのですが、いまいち乗りきれないまま終了。フランス本国では相当ヒットしたみたいですが、どういう評価だったんだろうか。気になる。

あと個人的に、黒人の青年がクール&ザ・ギャングやアース・ウインド&ファイアーみたいなファンク好きっていう設定にものすごい引っかかった。いや、そこはラップ・フランセで。

2012年9月2日日曜日

LV『SEBENZA』

ロンドンの3人組ユニット、LVの2nd(1stは未聴)。新宿のタワレコで見かけて気になったものの、試聴が出来ず。買うかどうか迷ったんですが、リリースがHyperdubからだったのとライナーがDISC SHOP ZEROの飯島さんだったのが決め手で購入。バッチリでした。Hyperdub最高。

ダークなエレクトロ+ダブステップ+アフロビートな闇鍋トラックに、LVのメンバー1人の祖国である南アフリカのMC達がフィーチャーされてます。こいつらがとにかくカッコいい!訛りのある英語(+南アフリカの他の公用語?)や、USやUKとは違った独特の粘り気のあるフロウが強烈で耳に残ります。日本のMCもこんな風にフィーチャーされれば面白いと思うんですが、やっぱり英語じゃないと難しいか。


2012年8月29日水曜日

Drugstore Cowboy





















シネマトゥデイ:『ドラッグストア・カウボーイ』の原作者ジェームズ・フォーグルが獄死

70歳を超えて刑務所に入っていたというのも驚きですが、犯した罪が「強盗」だったというのもまた凄いというか、救いようがないというか・・・。記事に出てくる地元警察の「彼は薬局強盗しか生きていくすべを知らないだろう」という証言が、劇中のどうしようもないジャンキー達の姿と重なって痛々しい。

1989年の映画ですが、鮮やかな薬局強盗の手口やドラッグによるバッドトリップを表現した映像は、今観てもスタイリッシュでカッコいい。むしろ『トレインスポッティング』(1996年)の方が、今では古臭く感じるような。ガス・ヴァン・サントの映画の中でも、ベストの1つではないでしょうか。

あと何と言っても、ジャンキーの神父役で出演のウィリアム・バロウズ。「(メタドンを使ったリハビリ治療は)ついついノルマを果たし過ぎていかん」「ヤクがあふれすぎて皆がヤク中に見える」etc、台詞がいちいち秀逸。マット・ディロンからバロウズへ「あんたは哲学者になるべきだったよ」と言うシーンは洒落てましたね。

2012年8月26日日曜日

A History of Violence





















田舎でダイナーを経営し、家族と仲睦まじく暮らすトム。そのトムが過去に背負った業がある事件をきっかけに暴かれていき、周囲の環境を激変させていく。

この作品を監督したクローネンバーグの発言(町山智浩さんのブログより)によると、製作・公開時の「アメリカの現状と無縁ではない」(公開は2005年・ブッシュ政権下)という。

確かに暴力が暴力を生む様は、正に9.11~アフガン~イラクへと突き進んだ当時のアメリカの姿そのまま。また劇中でトムの息子ジャックが、ギークであるにも関わらず学校内で暴力事件を起こし停学を受けるのは、誰しもがこの連鎖に巻き込まれる可能性を示唆しているように見える。

現在と過去、2つの顔を持つ複雑な男を演じ切ったヴィゴ・モーテンセンが素晴らしい。『ロード・オブ・ザ・リング』でのアラゴルン役を演じた人とは全く別人のよう。クローネンバーグの静かで穏やかな中に、冷酷さを持った映像・演出も抜群。

2012年8月23日木曜日

Japandroids - The House That Heaven Built

 

Japandroidsの2nd『Celebration Rock』(まだ買えてない・・・)からのビデオ。No Age、The Men、Titus Andronicusなんかに通じるような衝動性。The Sonicsからのアメリカの伝統芸能、R&Rの進化系、考える前に飛んでる。暑苦しいと思う人も多いと思うけど、でもそこが良い。ベッドルームに閉じこもってるようなインディ・ロックよりも、こういう直球なバンドの方がよっぽど健全でカッコいい。Animal CollectiveやAriel Pinkみたいなバンドは、もう十分っす。

2012年8月21日火曜日

MC漢 & DJ琥珀『MURDARATION』

新レーベル「鎖グループ」からリリースのMIX CD。「実質2ndアルバム」と言いつつも、半分近くはインスト・フリースタイル・既発曲。ただそんな中でも、ILL-BOSSTINOやMETEORとの曰くつきのフリースタイルや、cro-magnonと共演した際のLIVE音源(MCが素晴らしい)はファンなら必聴かと。

新曲は、非合法なトピックをスキルとユーモアで抜群のエンターテイメントに仕上げる、いつもの漢のスタイル。全体はシンプルかつスモーキーなビートで統一。MSC『新宿 STREET LIFE』から6年、1stソロ『導~みちしるべ~』からは7年。収録内容に多少不満はありつつも、久々に漢のラップをこうやってまとまった形で聞けるのは嬉しい。何だかんだでやっぱりカッコいいし、何より聞いてて気持ちいい。


2012年8月20日月曜日

V.A.『Footwork on Hard Hard Hard!!』

Juke/Footworkのコンピレーション。今年リリースされたTraxmanのアルバムを聞いた時にも思ったのですが、このジャンルの面白さを体感するには、まずこういったコンピやMIXを聞くのが良さげですね。色んなタイプの曲が収録されてるので、どこかしらハマるポイントがありそう。といってもコンピに関しては、Planet Muの『Bangs & Works』シリーズしかなさそうですが。

個人的には、このコンピで初めて日本のトラックメイカー達の曲をちゃんと聞きました。何というか、海外勢と比べても普通にカッコいいですね。ネットレーベルやMOGRAって今までイメージだけで何となく避けてましたが、ちょっと興味湧いてきました。何事も食わず嫌いはいかん、ということか。


2012年8月19日日曜日

The Avengers





















今作への導線となってる5本の映画も全て観ました。その中では、『Captain America: The First Avenger』が個人的には一番好みでしたね(矢作俊彦さんはお怒りのようですが、まあ、色々と紆余曲折のあるキャラではあるので・・・)。

ストーリーやディティールについては、突っ込みだすとキリがない(そんなもんでしょう!)。ただ1つだけ、「政府が事態収拾のためNYに核ミサイル発射→アイアンマンが特攻スタイルで体を張って阻止」の流れがもろに『The Dark Knight Rises』のラストと被ってて、モヤっとしたのはボクだけではないはず。こういうのを見ると、「アメリカ人は核の事を『凄い威力の兵器』くらいにしか考えてない」って表現は間違いではないんだろうなと思います。核を安易に扱い過ぎやで。

あとCGの使い過ぎで、イマイチ現実味のない映像になってしまってるのは残念。せっかくのコミック実写化なのに。『The Dark Knight Rises』はその辺りのバランスを取って迫力ある映像に仕上げていただけに、もう少しやりようがあったのでは。もしくはどうせやるなら、『Transformers』シリーズくらいの無茶を。

今後は『Iron Man』『Thor』『Captain America』の続編、さらにその先には『The Avengers 2』が企画されてる模様(エンド・ロール通りであれば、あの方が再登場)。今作の出来には正直ガッカリでしたが、次に早くも期待してしまってるのは、おそらくボクが男だからでしょう。。

2012年8月14日火曜日

The Dark Knight Rises





















3部作の完結編。ただヒース・レジャー不在のせいか、『ダークナイト』の続編というよりも『バットマン・ビギンズ』の続編といった感じ。『ダークナイト』だけしか観てない人は、訳が分からなかったのでは。

キャストはクリストファー・ノーランの前作『インセプション』からトム・ハーディ、ジョゼフ・ゴードン=レヴィット、マリオン・コティヤールが続けて出演。マイケル・ケイン、キリアン・マーフィ、『ビギンズ』に出てた渡辺謙を合わせたら、かなりキャスト被ってる(残りはディカプリオくらい?)。あと『パブリック・エネミーズ』でクリスチャン・ベールとマリオン、『裏切りのサーカス』でゲイリー・オールドマンとトムが共演してましたね。

所々で辻褄の合わない箇所や日本人からしたら???な箇所はありますが、そこはご愛嬌。『トランスフォーマー』みたく、娯楽映画の超大作として観るのが良いかと。ただし『ビギンズ』の予習は必須。あとどうせ観るならIMAXシアター推奨。アン・ハサウェイの美貌は大きなスクリーンで!

2012年8月11日土曜日

Mosquito Coast





















監督にピーター・ウィアー、主演にハリソン・フォードという『刑事ジョン・ブック 目撃者』と同じコンビ。ハリソン・フォードの子供役に少年リバー・フェニックス。脚本は『タクシー・ドライバー』のポール・シュレイダー。

現代の物質主義や資本主義社会に反発し未開のジャングルでゼロから生活を始めるも、実際には自分も批判していた文明や社会と根本的に大差なかった、という痛烈な皮肉。

ハリソン・フォード演じる発明家・アニーの発明品「彼(という名前の製氷機)」がジャングルでの生活を潤すものの、最終的には周囲の環境を人の住めないものに破壊してしまう様は、正に彼が危惧し批判していた核戦争のメタファー。

「神は不完全な社会を作った、それを正すのが人間の仕事」というアニーの台詞は、彼(「人間」とも読み替えられると思う)の傲慢さを端的に表してますね。

2012年8月5日日曜日

NORIKIYO & OJIBAH『OJIKIYO × NORIBAH』

Twitterで日本語ラップリスナーのアカウントをフォローしてると、割と失礼な物言いというか「お前何様やねん」みたいな態度を見かけることがある(他のジャンルではどうなんだろう)。文句言うなとか口を閉じろって訳ではないけど、もうちょっとアーティストをリスペクトした方が良いんじゃないでしょうかね。

「苦言」でのAmebreakへのディスが話題になってますが、「OJIKIYO & NORIBAH」での「誰が落ち目?誰が勝者?」「チャチャ入れる外野には用無い」というラインや「苦言」のoutroを聞いてると、日本語ラップリスナーへの苛立ちも相当あるのかなと感じます。そしてそうした声へのアンサーとして舌鋒鋭く攻撃的にラップするNORIKIYO、マジでカッコいい。

原発やそれに対する政治家の姿勢について言及してる「そりゃ無いよ feat. RUMI」は、RUMIタソのヴァースが鳥肌モノ。「茶の間の地団駄 外出る時間だ」のライン、ホントにその通り。そこからスキットを挟んでのパーティーチューン「真夏の奴隷」以降は相模からの風を運ぶような、心地よいメロウな作風の曲が続く。まだまだやり続けるぜという決意表明のようなラスト「道の途中 feat. BRON-K」は、新しいSDPクラシック。これ聞いてると、RIVAXIDE行ってみたくなるよ。

2012年8月1日水曜日

Iggy & The Stooges『Raw Power』

近所のTSUTAYAで、『闇金ウシジマくん』の最新刊を購入。ついでに「洋楽過去の名盤」みたいなコーナーをブラブラしていた時に、このアルバムを発見。合わせてこちらも購入。もう随分前から「買おう買おう」と思って先延ばしになっていたのと、1000円という値段(安い)が決め手。

個人的には『Fun House』のより硬質でタイトなサウンドの方が好みですが、こちらも負けじと最高。こういう卑猥で野蛮なR&Rは、定期的に聞きたくなりますね。最近はストレートなR&Rをプレイするバンドが少なくなってるだけに、尚更。ちなみに『ウシジマくん』の最新刊も素晴らしかったです。


2012年7月21日土曜日

SHINGO☆西成『ブレない』

2か月ぶりの更新。完全にサボっていた。

サボる前並みの頻度は無理ですが、これからも適当に更新していくので。よろしく。
再開にあたってちょっとヘッダー部分変えてみました。



















ちょうど上半期が終わったタイミングなので、自分が今年買ったCDを眺めていたのですが、半分くらいが日本語ラップ。未だかつてない量。単純に良いアルバムが多かったのも理由の一つ。ただ震災以降の不安定で先の読めない世の中で、自分を奮い立たせる言葉が欲しかったのも間違いないです。

SHINGO☆西成の3rd。『ブレない』というタイトル通り、温かい言葉でもって聞く者を鼓舞する姿勢は1stの時点から一貫してる。ブレてない。自分の期待通りでもありました。

ただ「直感を信じろ」「大丈夫」「どうにかなるさ」「つらいことからすぐ逃げんな」みたいな直球の言葉は今の自分にとって、あまりにバカ正直というか真っ直ぐすぎるというか。とにかく素直に受け取ることが出来なくなってました。

バンド形式(まんまツェッペリン「Black Dog」)やスカ/レゲエ調、四つ打ちの曲などサウンド面での新機軸も、あまりハマっていない印象。PVも最高だった「大阪UP」のようなパーティーラップをもっと聞きたい。

2012年5月11日金曜日

The Hives - Go Right Ahead



5年ぶりの新曲は、一撃必殺のR&Rチューン!!スタジオから壁を一枚隔てて腕組みしながら演奏を
見ているのはランディ・フィッツシモンズでしょうか。ペレの野蛮なVoとタイトでパワフルな演奏はさすが。
サックスの入ったアレンジもカッコいい!2000年代のロックンロール・リバイバル組がどんどんフェード・
アウトしていく中で、順調にキャリアを積み上げてきたのは伊達じゃないこの安定感。来月6/5に発売の
アルバム・タイトルは『Lex Hives』(また恐竜ネタ?)。Go Right Ahead!!!

2012年5月10日木曜日

Bo Deal - Murda feat.Waka Flocka & Chief Keef



シカゴのラッパー、Bo Dealのミクステ『The Chicago Code 3』からの先行カット、客演にChief Keefと
Brick Squad MafiaからWaka Flocka Flame!「バインバイン」と「バウバウ」の共演。WakaとChief
Keefが並んで髪を揺らしてるシーンに笑った。ラップの方はWakaが相変わらずのド迫力。カッコいい。
Chief Keefもいいけど、さすがにWaka様には力負けって感じでしょうか。しかし2人共面白いなー。

2012年5月5日土曜日

CHIEF ROKKA - In My Life

















今年リリースされたECDの『Don't Worry Be Daddy』やMINTの『ミンちゃん』から聞こえる、日本語
ラップ界のビッグネームによる現行USの最先端に接近したサウンド。こうした動きはAkloやCherry
Brownのようなアーティストの台頭や、ミックステープの文化がシーンに完全に浸透した事が背景に
あるのは間違いないでしょう。

CHIEF ROKKAも、今作でこれまでの衣装を脱ぎ去ってUSのサウンドに接近。韻踏合組合の近作
『前人未踏』ではそうした方向性は皆無だったにも関わらず、です。派手な四分打ちのトラックや全体
に滲むエレクトロ色、バウンスする剥き出しのビート、オートチューンにゲストボーカル、そしてここにも
Lil'諭吉!!

ラップに関しては文句なし(あるわけない!)。滑らかなフロウ、洒落た言葉遊び、ライムによって生ま
れるグル―ヴ、2人のマイクリレー。韻踏関連の作品に必ずある、ラップという表現方法自体の面白さ
がここにも。韻踏の4人のラップは、リリックが分からなくても聞いてるだけで楽しくなる。

安全地帯に留まる事を良しとせずに新境地に飛び込んだベテランのチャンレンジは、吉と出ました。
進化を止めない限り、日本語ラップはこれからもどんどん面白くなる。ひょっとすると数年後には、この
2012年が「日本語ラップがサウンド面でブレイクスルーしたターニングポイント」となっているかもしれま
せんね。

2012年5月3日木曜日

Waka Flocka Flame - I Don't Really Care feat.Trey Songz



イエー!待ってたぜ若様!!6月12日発売の2nd『Triple F Life』からの先行シングル。Trey Songzを
フィーチャー。冒頭、Trey Songzのフックが終わった後の咆哮でブチ上がり。「フレーックス!」も健在。
こういう初期衝動が爆発したような、ある意味「原始的」とも言える音楽を待ってたんですよ!トラックが
ちょっと豪華な感じになってるけど、そんな事はどうでもいい。Waka Flocka Flameが野性的に叫んで
れば問題ない。

Chief Keef - Understand Me *LEAK*



『Back From The Dead』収録の「I Don't Like」を同郷のKanye Westがリミックスしたりと、
最近グイグイきてるChief Keefの新曲がリーク。正規バージョンではYoung Jeezyが客演
で入るみたいですね。しかし、何だかんだでやっぱり「バインバイン」が気になりますな!

2012年5月2日水曜日

BASE - PUBLIC HOLIDAY BULLSHIT -April-

















今年の1月から始まった『PUBLIC HOLIDAY BULLSHIT』シリーズ、4月分が到着です。
今月も最高です。1曲目はB.D.『Illson』から「Ninja Tune」のジャック。他の2曲は鷹の目
プロデュース。この人のトラックはどんどん危険度が増してる気がする・・・。3曲目「420」
とかクソ最高。5月にもこのシリーズがあるかは不明ですが、6月には2ndアルバムとなる
TRIBALISM』がリリース。呂布カルマ曰く、「今年イチ」との事。期待してます。

2012年5月1日火曜日

Darq E Freaker feat.Danny Brown - Blueberry (Pills & Cocaine)



GrimeのプロデューサーDarq E freakerとDanny Brownのコラボレーション。Danny Brownはやっぱり
Black Milkみたいなトラックよりも、こういうトラックに乗った方が活きますね!去年の『XXX』も明らかに
GrimeやUKのベース・ミュージックからの影響を受けた作品でしたし。Danny Brownには是非ともこの
路線で突っ走ってほしいです。

2012年4月29日日曜日

Gapper and 5lack - 我破

















Gapper from PSGの初ソロを、5lack(S.L.A.C.K.)が全面プロデュース。「ストリート」という
より、「街」や「生活」といった景色を思わせるGapperのリリック。そこに抜群の相性を見せる、
シンプルな5lackのトラック。「Intro」や「Outro」辺りに顕著ですが、5lackのビートには西海岸
アングラの影響の強さを感じます。Gapperのラップは、PSGでも見せていた韻の固いラップ
を披露。サ上言うところの「IKBスタイル」(実際はSBBだけど)。5lackもトラックだけではなく、
ラップでも数曲サポート。「ブラックホール」では、PUNPEEがRAU DEFをプロデュースした際
見せたようなフックで見せ場を横取り。全9曲30分弱でも締まった洗練された内容。PUNPEE
のソロも早く聞きたいですね!

2012年4月27日金曜日

Ruff Neck - Fuck You

 

RUFF NECKの1st『RUFF TREATMENT』からの先行カット。ぶっといビートにど派手な上物、
そしてハードコアなリリックは正に「R-RATED印」といった感じ。ビデオもカッコいいですね。

ただECD+イリシット・ツボイやMINT+Cherry Brownのサウンド、田我流のポスト3.11に相応しい
リリックやアティチュードと比較すると、今のヒップホップのサイクルに乗り遅れている感は否めず。
Thugminatiのミクステも、今は同じ理由で聞けなくなりました。さて、アルバムではどう出るか。

2012年4月26日木曜日

Jack White - Blunderbuss

















元ホワイト・ストライプスのジャック・ホワイトのソロ作。ラカンターズやデッド・ウェザー名義での
リリースはありましたが、ソロでの作品はこれが初ですね。ラカンターズやデッド・ウェザーでも
ベースで共演しているジャック・ローレンスと、スキー・ビーツのバンドでドラムを叩いてるダル・
ジョーンズが同じ曲(「Trash Tongue Talker」)に参加してたのが個人的にアツかった。

これまでのジャック・ホワイトのキャリアを知っていれば想像はつくかと思いますが、ブルース・
カントリー・R&R(ガレージ)といったアメリカ伝統音楽の満漢全席。他のプロジェクトと同様の
ハードな音を期待してると、肩透かしをくらう可能性あり。ジャックの嗜好がよく出た、初ソロ作
に相応しい内容になっていると思います。

ただ、良くも悪くも想像通りの出来・内容だったのは残念。ストライプスのように制限が無い分、
やりたい放題(特にアレンジ面で)やってます。ただ、ジャックのコンセプトの他にノイズが無い
せいか、まとまり過ぎていて刺激には欠けるかなと。トレント・レズナーやジェイソン・ピアース
のような変人達とは違い、ジャックのクリエイティヴィティがより発揮されるのはバンドの方なの
かもしれませんね。

驚きや新鮮味には欠けますが、それでもこれがアメリカーナの良作であることには間違いない
です。好事家は買うべし。後はこれがライブでどう再現されるのか、凄く興味ありますね。日曜
夕方のグリーン・ステージでお願いします、SMASHさん。

2012年4月25日水曜日

CHIEF ROKKA - ライマーズハイ Pt.3



CHIEF ROKKA、来月発売のアルバムからの先行カット。JUSTICEみたいなエレクトロ風のトラックに
執拗なまでに(でも滑らかに)韻踏み続けるラップで、聞いてるこっちまでもライマーズハイ!ビデオは
ビースティ・ボーイズの「Intergalactic」みたいな撮り方でカッコいい(あそこまで下らなくないけど・・・)。
アルバムのトラックリスト見てたら、Cherry BrownやMomentがフィーチャーされてて非常に気になる。
また一つ楽しみが増えました。まだ4月ですが、今年は日本語ラップ豊作の年ですね~。

2012年4月24日火曜日

Gangrene - Odditorium EP

















DLリンク:http://www.complex.com/music/2012/04/ep-gangrene-odditorium

今年アルバム『Vodka & Ayahuasca』を発表したThe AlchemistとOh Noのデュオ、Gangreneの
フリーEP。4曲の小品ながら、今作もめっちゃDOPEです。自分の青年期がStones Throw全盛期
だったのもあり、こういう音を聞くと無条件にアガるわ。改めて、最も多感な時期に受けた呪縛から
はなかなか逃れられないなと。スチャが言うところの「ヤングトラウマ」ど真ん中。