2012年10月7日日曜日

アウトレイジ ビヨンド





















先代の会長を謀殺し、政界にまで影響を与える程に山王会を大きくした加藤(三浦友和)と石原(加瀬亮)。そんな加藤と石原のやり方に不満を持つ古参の山王会幹部。警察上層部の意向で、山王会を潰そうと目論むマル暴・片岡(小日向文世)。山王会と同盟関係にある、関西を拠点とする暴力団・花菱会。そして加藤と石原に組を潰され、子分と恋人を殺された昔気質のヤクザ、大友(ビートたけし)。

それぞれの狙いが複雑に絡み合うストーリーは、北野映画の影響を公言しているジョニー・トーの『黒社会』や、日本ヤクザ映画の金字塔『仁義なき戦い』シリーズを想起させる(前作~今作と大友のキャラクターを見るに、『仁義なき戦い』の広能昌三と置き換えることは可能だと思う)。闇社会に張り巡らされた権謀術数の数々や、ドロドロの人間関係の描写を中心に映画は展開、そこに前作から引き継いだ目の覚めるような暴力シーンが加わる。映画としての完成度・見応え共に、今作が上だと思う。エンターテインメント性も、これまでの北野映画で最高レベル。最近観た映画の中では、ずば抜けて面白かった。

出演者で印象的だったのは小日向文世、松重豊、塩見三省、桐谷健太、新井浩文。小日向文世演じる片岡は、間違いなく今作(そして劇中で描かれる謀略の数々)の主役。その片岡のやり方を批判的に見つめる同じマル暴・繁田役の松重豊は、少ない台詞ながら渋い存在感。塩見三省は花菱会の幹部・中田を演じ、スクリーンに映るだけで観客を威圧。桐谷健太と新井浩文の2人は、若くて青いチンピラの嶋と小野を好演。この2人はもうちょっと観たかった。5人も挙げてしまったけどまだ挙げ足りないくらいで、そのくらい役者が光った映画だったと思う。また、『その男、凶暴につき』『HANA-BI』など北野映画でおなじみの白竜が、脇役ながら戻ってきたのも嬉しい。