2012年8月29日水曜日

Drugstore Cowboy





















シネマトゥデイ:『ドラッグストア・カウボーイ』の原作者ジェームズ・フォーグルが獄死

70歳を超えて刑務所に入っていたというのも驚きですが、犯した罪が「強盗」だったというのもまた凄いというか、救いようがないというか・・・。記事に出てくる地元警察の「彼は薬局強盗しか生きていくすべを知らないだろう」という証言が、劇中のどうしようもないジャンキー達の姿と重なって痛々しい。

1989年の映画ですが、鮮やかな薬局強盗の手口やドラッグによるバッドトリップを表現した映像は、今観てもスタイリッシュでカッコいい。むしろ『トレインスポッティング』(1996年)の方が、今では古臭く感じるような。ガス・ヴァン・サントの映画の中でも、ベストの1つではないでしょうか。

あと何と言っても、ジャンキーの神父役で出演のウィリアム・バロウズ。「(メタドンを使ったリハビリ治療は)ついついノルマを果たし過ぎていかん」「ヤクがあふれすぎて皆がヤク中に見える」etc、台詞がいちいち秀逸。マット・ディロンからバロウズへ「あんたは哲学者になるべきだったよ」と言うシーンは洒落てましたね。

2012年8月26日日曜日

A History of Violence





















田舎でダイナーを経営し、家族と仲睦まじく暮らすトム。そのトムが過去に背負った業がある事件をきっかけに暴かれていき、周囲の環境を激変させていく。

この作品を監督したクローネンバーグの発言(町山智浩さんのブログより)によると、製作・公開時の「アメリカの現状と無縁ではない」(公開は2005年・ブッシュ政権下)という。

確かに暴力が暴力を生む様は、正に9.11~アフガン~イラクへと突き進んだ当時のアメリカの姿そのまま。また劇中でトムの息子ジャックが、ギークであるにも関わらず学校内で暴力事件を起こし停学を受けるのは、誰しもがこの連鎖に巻き込まれる可能性を示唆しているように見える。

現在と過去、2つの顔を持つ複雑な男を演じ切ったヴィゴ・モーテンセンが素晴らしい。『ロード・オブ・ザ・リング』でのアラゴルン役を演じた人とは全く別人のよう。クローネンバーグの静かで穏やかな中に、冷酷さを持った映像・演出も抜群。

2012年8月23日木曜日

Japandroids - The House That Heaven Built

 

Japandroidsの2nd『Celebration Rock』(まだ買えてない・・・)からのビデオ。No Age、The Men、Titus Andronicusなんかに通じるような衝動性。The Sonicsからのアメリカの伝統芸能、R&Rの進化系、考える前に飛んでる。暑苦しいと思う人も多いと思うけど、でもそこが良い。ベッドルームに閉じこもってるようなインディ・ロックよりも、こういう直球なバンドの方がよっぽど健全でカッコいい。Animal CollectiveやAriel Pinkみたいなバンドは、もう十分っす。

2012年8月21日火曜日

MC漢 & DJ琥珀『MURDARATION』

新レーベル「鎖グループ」からリリースのMIX CD。「実質2ndアルバム」と言いつつも、半分近くはインスト・フリースタイル・既発曲。ただそんな中でも、ILL-BOSSTINOやMETEORとの曰くつきのフリースタイルや、cro-magnonと共演した際のLIVE音源(MCが素晴らしい)はファンなら必聴かと。

新曲は、非合法なトピックをスキルとユーモアで抜群のエンターテイメントに仕上げる、いつもの漢のスタイル。全体はシンプルかつスモーキーなビートで統一。MSC『新宿 STREET LIFE』から6年、1stソロ『導~みちしるべ~』からは7年。収録内容に多少不満はありつつも、久々に漢のラップをこうやってまとまった形で聞けるのは嬉しい。何だかんだでやっぱりカッコいいし、何より聞いてて気持ちいい。


2012年8月20日月曜日

V.A.『Footwork on Hard Hard Hard!!』

Juke/Footworkのコンピレーション。今年リリースされたTraxmanのアルバムを聞いた時にも思ったのですが、このジャンルの面白さを体感するには、まずこういったコンピやMIXを聞くのが良さげですね。色んなタイプの曲が収録されてるので、どこかしらハマるポイントがありそう。といってもコンピに関しては、Planet Muの『Bangs & Works』シリーズしかなさそうですが。

個人的には、このコンピで初めて日本のトラックメイカー達の曲をちゃんと聞きました。何というか、海外勢と比べても普通にカッコいいですね。ネットレーベルやMOGRAって今までイメージだけで何となく避けてましたが、ちょっと興味湧いてきました。何事も食わず嫌いはいかん、ということか。


2012年8月19日日曜日

The Avengers





















今作への導線となってる5本の映画も全て観ました。その中では、『Captain America: The First Avenger』が個人的には一番好みでしたね(矢作俊彦さんはお怒りのようですが、まあ、色々と紆余曲折のあるキャラではあるので・・・)。

ストーリーやディティールについては、突っ込みだすとキリがない(そんなもんでしょう!)。ただ1つだけ、「政府が事態収拾のためNYに核ミサイル発射→アイアンマンが特攻スタイルで体を張って阻止」の流れがもろに『The Dark Knight Rises』のラストと被ってて、モヤっとしたのはボクだけではないはず。こういうのを見ると、「アメリカ人は核の事を『凄い威力の兵器』くらいにしか考えてない」って表現は間違いではないんだろうなと思います。核を安易に扱い過ぎやで。

あとCGの使い過ぎで、イマイチ現実味のない映像になってしまってるのは残念。せっかくのコミック実写化なのに。『The Dark Knight Rises』はその辺りのバランスを取って迫力ある映像に仕上げていただけに、もう少しやりようがあったのでは。もしくはどうせやるなら、『Transformers』シリーズくらいの無茶を。

今後は『Iron Man』『Thor』『Captain America』の続編、さらにその先には『The Avengers 2』が企画されてる模様(エンド・ロール通りであれば、あの方が再登場)。今作の出来には正直ガッカリでしたが、次に早くも期待してしまってるのは、おそらくボクが男だからでしょう。。

2012年8月14日火曜日

The Dark Knight Rises





















3部作の完結編。ただヒース・レジャー不在のせいか、『ダークナイト』の続編というよりも『バットマン・ビギンズ』の続編といった感じ。『ダークナイト』だけしか観てない人は、訳が分からなかったのでは。

キャストはクリストファー・ノーランの前作『インセプション』からトム・ハーディ、ジョゼフ・ゴードン=レヴィット、マリオン・コティヤールが続けて出演。マイケル・ケイン、キリアン・マーフィ、『ビギンズ』に出てた渡辺謙を合わせたら、かなりキャスト被ってる(残りはディカプリオくらい?)。あと『パブリック・エネミーズ』でクリスチャン・ベールとマリオン、『裏切りのサーカス』でゲイリー・オールドマンとトムが共演してましたね。

所々で辻褄の合わない箇所や日本人からしたら???な箇所はありますが、そこはご愛嬌。『トランスフォーマー』みたく、娯楽映画の超大作として観るのが良いかと。ただし『ビギンズ』の予習は必須。あとどうせ観るならIMAXシアター推奨。アン・ハサウェイの美貌は大きなスクリーンで!

2012年8月11日土曜日

Mosquito Coast





















監督にピーター・ウィアー、主演にハリソン・フォードという『刑事ジョン・ブック 目撃者』と同じコンビ。ハリソン・フォードの子供役に少年リバー・フェニックス。脚本は『タクシー・ドライバー』のポール・シュレイダー。

現代の物質主義や資本主義社会に反発し未開のジャングルでゼロから生活を始めるも、実際には自分も批判していた文明や社会と根本的に大差なかった、という痛烈な皮肉。

ハリソン・フォード演じる発明家・アニーの発明品「彼(という名前の製氷機)」がジャングルでの生活を潤すものの、最終的には周囲の環境を人の住めないものに破壊してしまう様は、正に彼が危惧し批判していた核戦争のメタファー。

「神は不完全な社会を作った、それを正すのが人間の仕事」というアニーの台詞は、彼(「人間」とも読み替えられると思う)の傲慢さを端的に表してますね。

2012年8月5日日曜日

NORIKIYO & OJIBAH『OJIKIYO × NORIBAH』

Twitterで日本語ラップリスナーのアカウントをフォローしてると、割と失礼な物言いというか「お前何様やねん」みたいな態度を見かけることがある(他のジャンルではどうなんだろう)。文句言うなとか口を閉じろって訳ではないけど、もうちょっとアーティストをリスペクトした方が良いんじゃないでしょうかね。

「苦言」でのAmebreakへのディスが話題になってますが、「OJIKIYO & NORIBAH」での「誰が落ち目?誰が勝者?」「チャチャ入れる外野には用無い」というラインや「苦言」のoutroを聞いてると、日本語ラップリスナーへの苛立ちも相当あるのかなと感じます。そしてそうした声へのアンサーとして舌鋒鋭く攻撃的にラップするNORIKIYO、マジでカッコいい。

原発やそれに対する政治家の姿勢について言及してる「そりゃ無いよ feat. RUMI」は、RUMIタソのヴァースが鳥肌モノ。「茶の間の地団駄 外出る時間だ」のライン、ホントにその通り。そこからスキットを挟んでのパーティーチューン「真夏の奴隷」以降は相模からの風を運ぶような、心地よいメロウな作風の曲が続く。まだまだやり続けるぜという決意表明のようなラスト「道の途中 feat. BRON-K」は、新しいSDPクラシック。これ聞いてると、RIVAXIDE行ってみたくなるよ。

2012年8月1日水曜日

Iggy & The Stooges『Raw Power』

近所のTSUTAYAで、『闇金ウシジマくん』の最新刊を購入。ついでに「洋楽過去の名盤」みたいなコーナーをブラブラしていた時に、このアルバムを発見。合わせてこちらも購入。もう随分前から「買おう買おう」と思って先延ばしになっていたのと、1000円という値段(安い)が決め手。

個人的には『Fun House』のより硬質でタイトなサウンドの方が好みですが、こちらも負けじと最高。こういう卑猥で野蛮なR&Rは、定期的に聞きたくなりますね。最近はストレートなR&Rをプレイするバンドが少なくなってるだけに、尚更。ちなみに『ウシジマくん』の最新刊も素晴らしかったです。