2012年9月8日土曜日

Mala『Mala in Cuba』

「Mala + キューバ音楽」という意外な組み合わせに驚いたものの、仕掛人がジャイルス・ピーターソンと知って納得。タイトルを見た時は「ベースがブリブリのいかにもダブステップなトラックの上で、ド派手な鳴り物やVoが踊ってる」みたいな音楽を想像したものの、そんな曲は皆無(当たり前か)。Malaによるシンプルなキックとベース、その隙間を埋めるようにパーカッションが絡みつくリズムセクションが、どの曲でも中心に鎮座してる。まるで、リズムこそが音楽だと言わんばかり。そこにVoやピアノ、ダブ処理された音の欠片が、効果的にアクセントとして加えられている。

前述の通り自分が想像した「1+1=2」式でなく、Malaが正にキューバ音楽と「セッション」している。ロンドンやブリストルのグレーな空でもなく、ハバナの真っ青な海でもない、UKベースミュージックとキューバ音楽のフュージョン。ECDが『ECDIARY』でサンプラー+生ドラムと組み合わせが意外とやりやすかったと言っていた通り、「デジタルな音+生演奏」という方式は、組み合わせ次第でもっと大きな可能性がありそう。少なくともそう思わせるような音がここにある。最後のダブ、スカが混ざった中に女性Voの歌声が入っていく「Noches Sueños feat. Danay Suarez」は、溜息出るほど美しい…。