2012年10月28日日曜日

ARGO





















ゴーン・ベイビー・ゴーン』『ザ・タウン』に続く、ベン・アフレック監督作。この作品で完全に役者としてだけでなく、監督としてのベン・アフレックの評価も確固としたものになったのでは。早くもアカデミー賞の有力候補とのウワサもありますが、それも十分頷けるほどの力作。

前半は、架空の映画を製作する裏側を見せる中で、ハリウッドの映画製作の裏側を見せるという入れ子構造&セルフ・パロディ的な展開。この辺りは『ウワサの真相/ワグ・ザ・ドッグ』を連想させる。映画プロデューサー役のアラン・アーキンと、特殊メイクの専門家役のジョン・グッドマンの2人がふてぶてしいハリウッドの業界人を好演。

舞台をイランに移した後半は一転して、カナダ大使公邸に半ば閉じ込められた6人の外交官の人間ドラマと、脱出作戦を巡るイラン革命防衛隊との緊迫したやり取りの連続というシリアスな展開。「映画を盛り上げよう」という狙いが透けて見える場面はいくつかあるものの、外交官を演じた6人の演技が素晴らしく非常に見応えあり。観客の焦燥感を煽る演出も上手い。

「ストーリーがイランを悪く描きすぎではないか」という批判もあるようですが、アメリカの外交のやり口も映画の中で説明されているのでそこは問題ないかと。また「ポリティカル・コレクトネス(政治的な正しさ)」がこの映画のテーマではないので、批判自体が的外れなようにも感じる。