2011年10月24日月曜日

『V フォー・ヴェンデッタ』とウォール街の占拠運動


映画やコミックは見たことなくても、このマスクに見憶えが
ある人は多いのではないでしょうか。

『V フォー・ヴェンデッタ』。コミックは1988年にDCから発刊、
映画版はナタリー・ポートマン主演で2006年に公開されて
ます。映画版もそこそこ面白いのですが、設定がちょこっと
変わっていたりするので、個人的には原作のコミックの方が
オススメです。

核戦争後のイギリスを支配するファシスト政府に対して、
コードネーム「V」と名乗る謎の男が革命を目指して攻撃を
仕掛けていく、というのが大まかなあらすじです。

原作はアラン・ムーア。『ウォッチメン』の原作で有名ですね。
冷戦真っ最中に書かれたせいか、どちらも「核戦争」が背景
にあるのが面白いですね。ボクはこの時代まだ全然ガキで、
気がつけばソ連もベルリンの壁も崩壊してました。なので
この辺りのリアリティは掴めませんが、興味深いですね。

で、最近ニュース等でこのマスクをちょこちょこ見る機会があります。最近だとNYのウォール街の占拠
Occupy Wall Street)でこの仮面を被った人がいましたね。東京での同様の運動にもいました。
他にハッカー集団「Anonymous」のメンバーも、この仮面をシンボルとして使ったりしてます。

このマスク自体はガイ・フォークスというテロリスト(?)のマスクなのですが、ウォール街や東京の人、
Anonymousが意識しているのは、コードネーム「V」の方で間違いないですね。「V」は常にこのマスクを
被って、決して素顔を見せません。

「V」が目指す革命は「アナーキー」、原作によると指導者のいない「自発的秩序の状態」です。ちなみに
原作者のアラン・ムーアもアナキストですね。ただ、これとは別に「全て彼ら次第だ」という台詞もあります。
「彼ら」とはイギリス国民の事ですね。「アナーキー」状態だけが選択肢ではなく、ファシスト政府に代わる
新しい指導者・政府を選ぶことも選択肢の一つであり、その選択は「全て彼ら次第だ」と。

「Anonymous」は、単に革命のシンボルとしてこのマスクを使用しているのだと思います。
ただウォール街や東京でこのマスクを被った人は、作中の「全て彼ら次第だ」というメッセージを表した
かったのだと思います。つまり、「政府でなく、自分達がこの国の未来を決める」。その象徴として、
このマスクを被っていたのではないでしょうか。

作中では「V」の行動が最終的にどのような結果となったか、はっきりと書かれていません。
暗闇のハイウェイを男が歩いていく場面で終わります。現実では果たして、どうなるか。