2013年3月15日金曜日

Fla$hBackS『FL$8KS』

jjj、Febb as Young Mason、KID FRESINOの3人から成るFla$hBackS。このFla$hBackSの1stアルバム『FL$8KS』が、日本語ラップの今年のリリースの中でも一番のトピックだったことは間違いない。とにかく皆大絶賛で、批判はボクの見たところ1つもない。早くも今年のベストアルバムに推す声も少なくない。

ボクもこのアルバムは大好きなのだけど、ずっと考えていたのは「Fla$hBackSのどこがこんなにフレッシュなのか」ということ。このアルバムは確かにカッコいいものの、一聴しただけでは明らかに目に見えて斬新な所は無いように思える。じゃあなんでこんなにフレッシュに聞こえるのか。

1つには、バックトラック。ぱっと聞きでは、単なる90年代リバイバルのように聞こえるかもしれない。ただ、ボクにはそんな簡単に括れるものではなく、そこに加えてもっときらびやかで派手な要素(2000年代以降の、例えばDipsetやKanye Westのプロダクションのような)がプラスされているように聞こえる。他にも、ベースや上モノなどの音のバランス(実際これがかなり大きいと思っている)が、90年代リバイバルとは確実に一線を画しているのではないか。

2つには、ラップの(特にjjjの)フロウ。リリックは日本語と英語の混じったものであるものの、バイリンガルとまではいかないバランス。この辺りはSEEDAやBESよりもS.L.A.C.K.以降、といった感じか。ただ、フロウが少し変わったリズム感、というか間合いの取り方をしている。BESでもなく、RAU DEFでもない微妙な感覚。それが聞き手に新鮮な印象を与えている。

この妙な間のラップが前述の特異なトラックに乗ることで、新しいケミストリーを生み出しているのではないかと。まあ、ここまでごちゃごちゃと言っといてなんですが、兎にも角にもとんでもない若者が出てきたことは間違いない。我々リスナーは、この最高のヒップホップを素直に楽しむべき。