2013年3月18日月曜日

スリー・キングス





















湾岸戦争終結直後のイラク。実戦経験が殆どないトロイは、イラク軍の捕虜の尻から地図を発見する。それは、イラクがクウェートから盗んだ金塊の在りかを示した地図だった。トロイの上官であるアーチーはその地図を元にトロイ、チーフ、コンラッドの4人で金塊を探しに行く。金塊は無事見つけたものの、イラク軍による反フセイン派への弾圧を見た4人は、停戦協定を破ってイラク軍と戦闘してしまい・・・。

世界にひとつのプレイブック』のデヴィッド・O・ラッセルの99年監督作。アーチーを演じたジョージ・クルーニーはこの撮影中に監督を殴ったというほど現場は荒れていたようだが(デヴィッド・O・ラッセルは双極性障害を患っていて、その症状が現場で出てしまったらしい)、そんなハードな現場だったとは思えない快作。10年程前に一度TVで観て面白かった記憶があったが、もう一度観直してもやっぱり面白かった。

妻子あるアメリカの一般市民であるトロイの拷問シーンでは、湾岸戦争におけるアメリカの狙いであった石油をトロイに飲ませ、更にイラク兵が実はアメリカによって養成されたこと明らかにし、アメリカの虚飾を剥がす。このシーンは、この映画の政治的な立場を明確に表している。湾岸戦争から10年弱、911のテロの2年前という微妙な時期だからこそ作れた映画だと思う。今考えると、こんな過激な映画をよくTVで放送できたなと…。また、初めは使い様のない武器と思われていたフットボール爆弾の伏線の回収の仕方が見事で思わずニヤリ。