2012年3月8日木曜日

SALU - IN MY SHOES





















BLのレーベル「ONE YEAR WAR MUSIC」とサインするまで、ボクにとってSALUは正体不明
の怪物みたいな存在でした。KYNの2ndに収録の「Silent Power」で、QNとKYNの2人を完全
に食ってしまったモンスター。

ただサインしてからは、少なからず「ハイプ」なイメージを持ってしまったし、多くの日本語ラップ
ファンも同じだと思います。アルバムからの先行PVに、アルバム未収録の豪華なREMIX公開、
iTunesで無料シングル配布、アルバムには各店舗によって別々の特典、雑誌やweb媒体には
露出しまくり。これだけ大々的にやられると、さすがに警戒してしまいます(これはSALUでなく
レーベル側のやり方の問題ですが)。

そんな空気の中で発売された、この『IN MY SHOES』。このアルバムでのSALUは、ビートの
上を流れるようなフロウにも関わらず、リリックははっきりと聞き取れるようにラップしています。
そこからするりとポップでメロディアスなフックに入っていき飄々と歌い上げる。このスタイルは、
サイン前のモンスターっぷりとは全くの別人のよう。SALUのリリックは所謂「社会派」なトピック
が多めで、そういったトピックは本来ボクは苦手です。ただ「ラップ~フック」の一連の流れ自体
に相当な気持ち良さがあり、リリックは遅れて頭に入ってくる感じ。こうなると、苦手なタイプの
リリックも何故だか聞けてしまう不思議。声も透明感のあるいい声をしてる。BLの抜けの良い
トラックと相乗効果を生み出していて、結果的にBLとのタッグは良い組み合わせだったと言わ
ざるを得ませんね。

異論がある人も多いかもしれませんが、ボクはこのSALUのスタイルは積極的に肯定したいと
思います。むしろこれまで自分が日本語ラップに対して、あまりにハードコアなものを求めすぎて
いたのかなと。PVを公開している「TAKING A NAP」「THE GIRL ON A BOARD」は、明らかに
ヒットを狙って作った曲だと思いますが、SALU(とBL)は「もっと開かれた音楽」としての日本語
ラップを突きつめているのかもしれませんね。SALUきっかけで、日本語ラップのDEEPな世界
にハマる人が増えるといいなと思います!