「完全無欠」が謳い文句の詐欺師コンビがFBIに捕まり、司法取引で無罪を勝ち取るために同業者(詐欺師)4人の逮捕の手助けをするはめに。ところが作戦のターゲットは詐欺師からニュージャージーはカムデンの市長、現役の国会議員、更にはマイヤー・ランスキー(ラッキー・ルチアーノの右腕で、ユダヤ系ギャングの大物)の片腕だったギャングへとどんどん作戦はエスカレートし、深みにハマっていき…。
『ザ・ファイター』と『世界にひとつのプレイブック』の主要キャストを揃えた本作はさながらデヴィッド・O・ラッセルの愛弟子達による演技合戦の様相を呈しており、映画のほぼ全編に渡ってスクリーン上で火花を散らし合っている。冒頭の主人公で詐欺師のアーヴィング(クリスチャン・ベイル)、FBI捜査官のリッチー(ブラッドリー・クーパー)、アーヴィングの愛人で相棒のシドニー(エイミー・アダムス)の3者による数分の絡みだけでも、ニヤニヤ笑いが止まらない。アクの強いキャラクターを共存させ、役者を活かした演出で「オスカーを取らせる監督」デヴィッド・O・ラッセルの手腕は、本作でも相変わらず冴え渡っている。
『世界にひとつの~』に引き続き本作もアカデミー賞の演技部門全て(主演男優・女優賞、助演男優・女優賞)にノミネートされているが(他に作品賞、監督賞、脚本賞等にもノミネート)、果たしてどれだけのオスカーを獲得できるか。