アイルランドからNYに移住し、仕事でも有能なブランドン。しかし彼は、仕事場でもポルノ画像を収拾し、自宅では娼婦を呼んでひたすらセックスをするセックス依存症を患っていた。そんなブランドンの元へ、自傷癖があり恋愛依存症でもある妹のシシーが転がり込んでくる。そこから、2人の生活が崩壊していく。
劇中でセックスや自慰のシーンは山程あるものの、そこにエロティシズムはなく、ただただ痛々しさが残るだけ。セックス依存症の現実を痛いほど描写している。監督はあのかの有名な俳優と同じ名前、スティーヴ・マックイーン。この監督にはこれからも注目していきたい。ブランドンを演じたマイケル・ファスベンダーは、台詞は少ないながらもセックス依存症の男を生々しく演じきっていてお見事。シシーを演じたキャリー・マリガンも同じく。
また、監督が映像作家なだけに、映像が全体を通してスタイリッシュなのも良かった。NYの夜の街や、シシーがバーで歌うシーンなど大変美しい。この美しい映像があるからこそ、セックスや自慰のシーンの惨めさがより際立つ。美しい映像と映画が扱っているテーマの惨めさ・エグさの2つの間の落差が、この映画の魅力かもしれない。