2013年3月20日水曜日

ONE-LAW『MISTY』

昨年の『Misty The Sound Crack』に続く、ONE-LAWの実質的な1stアルバム。参加アーティストには、MONJU、BES、Fla$hBackS、K-BOMB、漢、NIPPSなど錚々たるメンツが集合している。マスタリングは『Misty The Sound Crack』に続いてINNERSCIENCEが担当。ちなみにこのアルバムで使用されているトラックの多くは、『Misty The Sound Crack』にも収録されていたもの。

まずは黒いサウンドのイメージがあるMONJUに対して、浮遊感のあるトラックという意外な組み合わせの「Misty」でアルバムは幕を開ける。NORIKIYOとBRON-Kの「Akage No Fantastic」にはメロウなトラックをぶつける。BRON-Kの繊細な歌声とトラックが素晴らしいケミストリーを生み出している。個人的にはこれがベストトラック。「Re:Loaded」のKILLah BEENのタイトなラップには、ストレートなブレイクビーツで真っ向勝負。Mary Janeの歌声が美しい「To You」。ラスト「Kingdom」では、RGFの面々とBESのラップの凄みに圧倒される。全体を通し、ONE-LAWのプロデューサーとしての手腕が如何なく発揮されている。更に、「I'm Fine No Thank-You」でONE-LAW自身もラップを披露。

また、このアルバムには上記の他にBLYY、三島 a.k.a. 潮フェッショナル、メシアTheフライ、KNZZ、B.D.などが参加している。これらのメンツに共通するイメージは、池袋にあるクラブ、bed。池袋ひいては東京のヒップホップの中心であり続けている老舗のクラブで、これまでも日本のヒップホップの発展に一役かってきたbedの周辺にいるラッパー達が大きくフィーチャーされている。ONE-LAWもそうしたbed周辺のシーンの一人で、bedで行われた数々のパーティーに出演している。

このアルバムは、ONE-LAWのトラックメーカー、プロデューサー、ラッパーとしての実力を証明すると同時に、bed周辺のシーンの充実ぶりを日本語ラップリスナーに対して提示している1枚となっている。様々なラッパーをフィーチャーしているという意味では去年のDJ PMXや今年のBCDMGのアルバムと同じだが、特定のシーンをREPしている点がこのアルバムを特別なものにしている。