DVDに収録されている特典映像で、監督・脚本のザル・バトマングリと主演・脚本を務めたブリット・マーリングが本作について「倫理観を揺さぶられる映画」と語っていたが、自分はそれほどでもなかった。自然環境や人命を軽視し、ひたすら利益のみを追求する企業や国家は「目には目を」式のテロまではいかずともそれ相応の罰は下されるべきだと思う。消費主義への抗議としてゴミの中から日々の食糧を得ようとまではいかないが、日々加速していくように思えるこのサイクルはどこかでストップしなければいけないだろう。個人的にはこうした問題提起より、むしろサスペンス映画としての完成度の高さに脱帽。環境テロリスト集団の生活の描写に当たって、ブリット・マーリングはこうしたグループやアナキストと生活を共にしたらしい。これらのシーンは、まるでCLASSのダイヤル・ハウスでの生活をそのまま映像化したようだ。劇中で挿入される印象的なピアノ曲は、監督の実弟であるロスタム・バトマングリ(USのインディ・バンド、ヴァンパイア・ウィークエンドのメンバー)によるもの。全世界的に新自由主義との戦いが燃え上がっている今、このような映画が公開されたことの意義は大きい。