Goodie Mobの存在を初めて知ったのは、今はもう廃刊になってしまったsnoozerからディスクガイドが発売された2004年(Outkast『Speakerboxx/The Love Below』関連の作品として、ベスト盤『Dirty South Classics』が載ってた)。ただ本当にGoodie Mobにハマったのはここ1年程の間で、理由はというと、Amazonで『Soul Food』と『Still Standing』の2枚が中古で安く売られてるのを発見・購入したから。正に「Dirty South」と形容すべき泥臭いトラックのドープさと4MCのラップスキルの高さに魅了され、特にCee-Loの化け物のようなラップと歌には腰を抜かした(ソロのアルバムや他のプロジェクトはそれほどでもないのだが)。で、そんなタイミングでのGoddie Mobの「オリジナル・メンバー」での再結成とアルバム発売。
結論からいうと、予想していたほど良くはなかった。XXLマガジンのレビューでは5段階で3の評価の「L」で、選評から抜粋すると
Despite being in different places, the group has decided to reunite for their first proper album in over a decade. And just like Soul Food, Age Against The Machine tries to succeed in being different and innovative. At times, the results are disastrous, but the album always remains interesting.
「異なる立ち位置にも関わらず、グループは正式なアルバムを作成するため10年ぶりに再結成することを決めた。そして『Soul Food』のように、『Age Against The Machine』も個性的・革新的であろうと試みている。時としてその結果は悲惨なものとなっているが、アルバムは常に興味深いものになっている」和訳するとこんな感じでしょうか(拙い英語力ですいません…)。ボクもこの評価にほぼ100%同意です。
まずトラックが『Soul Food』や『Still Standing』の時のような泥臭いものでなく、現行の最新のヒップホップシーンのそれに近いものになっている。ドラムマシンから打ち込まれた金属的なハットの音や、EDMから影響を受けたと思われる電子ノイズ。こうした「今の音」がふんだんに盛り込まれている。事実上の1曲目「State of the Art (Radio Killa)」を聞いて「えっ!?」と思ったのはボクだけではないはず。
またHIPHOPDXの記事によるとより多くの人に届いて欲しいという気持ちもあったようで、かなりポップな曲もアルバムには収録されている。「Valleujah」や「Amy」のフックは、シンガーとしてのCee-Loの才能が存分に発揮されている。ただこれらのポップな曲調は、『Soul Food』や『Still Standing』を期待していたファンからすれば裏切られたと感じるかもしれない。
ただこれらの実験が全て失敗したかと言われれば、そうでもない。PVが発表された「I'm Set」「Special Education」、T.I.が参加した「PinStripes」なんかはなかなかの出来で、これがまたアルバム自体の評価をややこしくしている。
じゃあ昔と全く変わらない音だったら良かったかというと、それはそれでどうなのかという考えが頭をよぎる。ファンが描くGoodie Mob像と、本人達の望むGoodie Mob像と、現行のヒップホップシーンと、それぞれの間の溝。再結成アルバムを『Age Against The Machine』と名づけ、「まだまだオレらは現役だよ」と言いたかったのだろうが、やはり14年という歳月は長かったということか。