2013年3月16日土曜日

ジャンゴ 繋がれざる者





















奴隷だったジャンゴ(ジェイミー・フォックス)が元歯科医で賞金稼ぎのシュルツ(クリストフ・ヴァルツ)の手を借りながら、農園主で富豪のカルビン(レオナルド・ディカプリオ)から妻・ブルームヒルダ(ケリー・ワシントン)を取り戻そうとするマカロニ・ウエスタン。タランティーノ、3年ぶりの監督映画。

パンフレットにある町山智浩さんの解説に、この映画は「ブラックスプロイテーション」だと書いてあったが、正にその通り。黒人を差別し、モノとしか見ていない人間は最終的には悲惨に撃ち殺され、カルビンの屋敷はラストに盛大に爆破される。爆破の後でサングラスをしてキメたジャンゴの姿は、ブラックスプロイテーション映画の主人公そのまま。

ジャンゴとシュルツを夜に襲撃しようとするKKKのような集団の不毛で下らない会話のシーンや、ド派手な銃撃シーンなど、タランティーノならではの演出も健在。映画後半にジョニー・トーの『エグザイル/絆』を思わせるような室内での銃撃シーンがあるが、これは一見の価値あり。

役者に関して言えば、アカデミー賞・助演男優賞を受賞したクリストフ・ヴァルツは当然素晴らしかったが、悪辣な農園主を演じたディカプリオも負けず劣らず良かった。個人的にはこちらに賞をあげたい。またサミュエル・L・ジャクソンが農園を仕切る執事・スティーブンを演じていたが、これは反則。誰かが言っていた通り、志村けんのコントに出てくる老人そのまま。喋る度に笑ってしまいそうだった。